ルーク

ルーク（Rook）について

ルーク（Rook、♖♜）は、チェスにおける重要な駒の一つで、その形状は塔や城に似ています。しばしば「城」や「戦車」と表現されることもあります。

発音と語源

英語での発音は /ɹʊk/ で、「ルック」と表記されることもあります。駒の形から「castle」と呼ばれることもありますが、これは正式な名称ではありません。

ルークの語源は、サンスクリット語の「ratha（戦車）」に遡ります。これはシャンチーの「車」にもつながっています。また、インドでは象や船を意味するさまざまな名前で呼ばれています。

ペルシャ語では رخ (rokh)、アラビア語でも rukh と呼ばれ、英語の rook やドイツ語の Rochade（キャスリング）の語源となっています。ペルシア語でも「戦車」を意味していたようですが、本来の意味は早くに忘れられたようです。

一方、ドイツ語の「Turm」、フランス語の「Tour」、スペイン語の「Torre」は、いずれも「塔」を意味し、駒の形状にも反映されています。戦車から塔に変化した理由は定かではありませんが、アラビア語の rukh とイタリア語の「砦」を意味する rocca が関連しているという説があります。

また、ロシア語の ладья (lad'ya)、ベンガル語の নৌকা (nouka)、タイ語の เรือ (rua) は、いずれも「船」を意味します。このように、ルークは地域によって異なる文化的背景を持つ言葉で表現されています。

初期配置

ルークは、ゲーム開始時、白のルークはa1とh1、黒のルークはa8とh8に配置されます。チェスの棋譜上では「R」で表されます。

駒の動き

ルークは、縦横の方向に好きなマス数だけ移動できます。ただし、他の駒を飛び越えることはできません。移動先に敵の駒がある場合は、その駒を取ってそのマスに移動できます。味方の駒があるマスには移動できません。

ルークの価値

ルークは、クイーンと並んで「大駒」とされています。一般的に、ルークはポーン5個分の価値があるとされますが、これはあくまで目安で、局面によって価値は変動します。序盤では動きが制限されますが、中盤や終盤になるにつれて、その存在感が増していきます。特に終盤では、キングを除く他の駒がほとんど盤上からいなくなった場合でも、ポーンとルークが残っていることが多く、重要な役割を担います。

ルークは、敵のポーンがプロモーション（昇格）するのを防ぐ最後の砦となることが多く、また、単独で敵のキングをチェックメイトできる場合もあります。これは「バックランク・メイト」と呼ばれ、実戦でも頻繁に見られるパターンです。

セブンスランク・ルーク

ルークを敵陣の7段目（黒の場合は2段目）に侵入させると、非常に有利な状況を作り出せます。この形は「セブンスランク・ルーク」と呼ばれ、特に2つのルークを侵入させた形は、理想的な攻撃形態の一つとされています。

デザイン

ルークは紋章学でも頻繁に使われるモチーフであり、そのデザインは現代のものとは異なり、2つの角を持つ古い形をしています。また、カナダのケイデンシーにも使用されています。

その他の情報

キャスリングはルークの動きとして扱われるのではなく、キングの動きとして扱われます。ルークの動きが似ている将棋の「飛車」は、英語でも「Rook」と訳されます。また、将棋の「香車」は、ルークと動きは異なりますが、起源の上ではルークに対応すると考えられています。

まとめ

ルークはチェスにおいて非常に重要な役割を果たす駒です。その縦横無尽な動きは、序盤から終盤まで戦略の鍵を握ります。特に、終盤戦におけるその活躍は目覚ましく、チェスの勝敗を左右する重要な駒であると言えるでしょう。

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