ロイシン

ロイシンは、イソブチル基を側鎖に持つ疎水性アミノ酸であり、非極性側鎖アミノ酸、また分岐鎖アミノ酸に分類されます。略号はLeuまたはLで、白色結晶であることからギリシャ語の「白い」を意味するleucosにちなんで命名されました。英語式発音では「リューシーン」となります。

概要

ロイシンは、バリン、イソロイシンと共に分岐鎖アミノ酸の一つであり、体内で筋たんぱく質合成を誘導する役割を持ちます。タンパク質構成アミノ酸ですが、ヒトはロイシンを合成できないため、必須アミノ酸の一つです。幼児では成長、成人では窒素平衡に必須となります。ただし、遺伝子に異常がある場合、メープルシロップ尿症の原因となるアミノ酸の一つでもあります。ケト原性を持つことも特徴です。

ロイシンは、タンパク質の生成と分解を調整することで筋肉の維持に関与します。また、1つのキラル中心を持っており、天然型のロイシンはS体のL-ロイシンであり、ヒトはこれを苦く感じます。一方、天然にはほとんど見られないR体のD-ロイシンは、ヒトには甘く感じられます。

ロイシンは、ほぼ全てのタンパク質に含まれていますが、特にヘモグロビンやカゼインなどに多く含まれています。1日の必要量が最大ですが、肉や魚、乳製品に多く含まれており、通常の食生活で不足することはほとんどありません。

ロイシンの効果

ヒトはロイシンを摂取することで、以下の効果が期待できます。

肝機能向上
肝細胞の増殖および分化の正常化
血糖コントロール
タンパク質生合成の促進
筋タンパク質の維持
筋肉グリコーゲン合成・酵素活性の促進

ロイシンと乳がん

近年、乳がん細胞においてロイシンが細胞増殖の鍵となることが発見されました。この発見は、乳がん治療の新たな可能性を示唆するものとして注目されています。

出典

ロイシン - 素材情報データベース＜有効性情報＞（国立健康・栄養研究所）
乳がん細胞の増殖と治療薬の効果を左右するタンパク質を世界で初めて発見(大学ジャーナル2019年4月28日)

関連項目

アミノ酸発酵
ロイシン発酵

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