ローマ正教

ローマ正教：カトリック教会を彷彿とさせる巨大組織

『とある魔術の禁書目録』に登場するローマ正教は、バチカンを本拠地とする架空の宗教組織です。現実世界のローマ・カトリック教会を思わせるその規模と影響力は絶大で、世界113カ国以上に20億人を超える信徒を抱えています。教皇マタイ＝リースを頂点に、141人の枢機卿が組織を統括する巨大な権力構造を誇ります。

しかし、その実態は表向きとは異なる複雑さを秘めています。魔術師の数は限られており、魔術組織としての力はイギリス清教とほぼ互角、もしくはそれ以下とさえ評されています。「グレゴリオの聖歌隊」や「アニェーゼ部隊」といった精鋭部隊の壊滅や離反、聖霊十式の消滅など、物語の展開に伴いローマ正教は徐々に弱体化していく様子が描かれています。特にイギリス清教との対立は物語の中心的なテーマの一つです。

ローマ正教は、十字教特有の矛盾を内包しています。「人類の平等」を謳いながら、十二使徒を特別視するなど、神と人間社会の間に仲介者を置くことを好む傾向が見られます。この特性はローマ正教の魔術にも反映されており、完全な力の均等化は行わず、常に中心となるリーダーや調整役が存在する構造となっています。

さらに、異教徒や科学技術に対する強い嫌悪感と差別意識を背景に、学園都市とも深い対立関係にあります。過去の栄光にすがる強硬派の司祭や司教は、協力者に対しても敵対的な態度を示すことがあり、「神職貴族」と揶揄されることも少なくありません。3桁を超える派閥が存在する巨大組織ゆえに、内部抗争も絶えず、結束は脆いと言えます。

物語では、「法の書」解読者オルソラの暗殺未遂事件をきっかけに、ローマ正教と学園都市、そしてイギリス清教の対立が表面化します。学園都市への報復を上条当麻によって阻止され続け、劣勢に陥ったローマ正教は、ロシア成教との連携を深め、ついに影の組織「神の右席」を顕在化させます。「0930事件」における学園都市へのヴェント侵攻、テッラによる「C文書」を使ったデモ、アックアによる上条当麻襲撃など、ローマ正教による学園都市への攻撃は幾度となく失敗に終わります。

そして、フィアンマによる第三次世界大戦の勃発という、ローマ正教のルールを超えた行動によって事態はさらに複雑化します。大戦終結後、教皇マタイ＝リースは退位し、ペテロ＝ヨグディスが新教皇に就任。ローマ正教は組織改編を迫られることになります。

神の右席：ローマ正教の影の支配者

「神の右席」は、ローマ正教の真の実力者と言える存在です。教皇をも凌駕する権限を持ち、その存在は教皇内部でもごく少数しか知りません。アックアによると「世界を動かすために存在する」組織であり、ローマ正教の最深部に位置する禁断の存在です。

メンバーは四大天使（ミカエル、ガブリエル、ウリエル、ラファエル）に対応した4名から成り、それぞれイタリア語で四大属性（火、水、風、土）を意味する名を名乗ります。彼らは「天使」という仮面を被った存在であり、最終目的は神と対等の「右席」の地位に就き、「神上」と呼ばれる神をも超えた存在を目指す異端の思想を持っています。現在は、「光を掲げる者」を打ち破った「神の如き者」の影を追っています。しかし、各メンバーは独自の目的で行動しており、組織としての結束は必ずしも固いとは言えません。

彼らの肉体は、人間よりも天使に近い存在です。そのため、通常の魔術は使用できませんが、専用に調整された術式や霊装を用いることで、強力な魔術を行使します。

ローマ正教十三騎士団：ローマ正教の実働部隊

ローマ正教十三騎士団は、背信者の討伐などを行うローマ正教の実働部隊です。全員に聖なる加護を付加された施術鎧と天弓のレプリカが与えられています。イギリスの騎士団を模倣したとされ、ステイル・マグヌスからは「盗作」と酷評されています。アウレオルスの討伐のため学園都市へ派遣された部隊は、三沢塾襲撃で壊滅的な打撃を受けます。

スペイン星教派：ローマ正教内における巨大派閥

スペイン星教派は、ローマ正教内における大規模な派閥の一つです。南米に強い影響力を持ち、イギリスとは長年にわたる魔術勢力としての確執があります。過去にはイギリス皇女襲撃未遂事件に関与したこともありました。

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