ヴァイエイトとメリクリウス

ヴァイエイト & メリクリウス：『新機動戦記ガンダムW』が生んだ対照的なMS

『新機動戦記ガンダムW』に登場するヴァイエイトとメリクリウスは、OZによって開発された試作型モビルスーツ (MS) です。それぞれ「攻撃」と「防御」に特化した設計がなされており、2機が連携することで高い戦闘能力を発揮します。パイロットが搭乗する有人型と、無人型のMD（モビルドール）の2タイプが存在します。メカニックデザインはカトキハジメ氏が担当しました。

本稿では、ヴァイエイトとメリクリウスの機体解説、武装、劇中での活躍に加え、外伝作品『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』に登場する発展機についても解説します。

機体解説

OZに拘束された5人のガンダム開発者によって、トーラスをベースに共同開発されたのがヴァイエイトとメリクリウスです。ガンダムを撃破可能な性能を目標としつつ、単機にすべての能力を付与するのではなく、機能を分割して連携運用することで総合的な戦闘力を高めるというコンセプトで開発されました。

頭部はトールギスと同様の構造を持ち、カバー展開によって正方形のカメラが露出します。カバーを閉じた状態でも戦況の確認は可能ですが、視野は狭まります。後にMDとしても運用され、これらの機体に採用された装備群は、ビルゴへと発展していきました。

ヴァイエイト

青い機体色と頭部の一本角状アンテナが特徴的な、砲撃戦に特化したMSです。機体名はエジプト[[神話]]の女神「ヴァイエト」に由来します。

武装・装備

ビームキャノン: バックパックのジェネレーターと有線接続された大型ビーム砲です。ウイングガンダムのバスターライフルを上回る威力と連射性を持ち、ジェネレーター直結式によって発射回数も大幅に増加しています。広角射出が可能で、単機への攻撃だけでなく、複数機や要塞戦にも対応できます。発砲時にはジェネレーターのカバーが展開し、排熱を行います。後のビルゴにもマイナーチェンジ型が標準装備され、アルトロンガンダムのビームキャノンにも技術が応用されました。

劇中での活躍

OZ宇宙軍のMS開発区で、ヒイロが未完成のヴァイエイトを起動しビームキャノンを発射しますが、同じく未完成のメリクリウスのプラネイトディフェンサーによって無効化されます。完成後はトロワがテストパイロットとして搭乗し、ヒイロのメリクリウスと共に任務に就きます。

MD型トーラスを率いてゼクスのトールギスと交戦しますが、味方のトーラスをビームキャノンで破壊するなど、OZに反旗を翻すための策略を巡らせます。

カトルのウイングガンダムゼロとの戦闘では、ゼロシステムの狂気に染まったカトルによって機体が半壊。ヒイロのメリクリウスを庇い爆散し、トロワは宇宙空間に投げ出されます。

後に、ホワイトファングに拘束された科学者たちによって、トロワの戦闘データを組み込まれたMDとして再製造されますが、デュオによってメリクリウスと共に撃破されます。

メリクリウス

赤い機体色とU字型の頭部アンテナが特徴的な、防御・接近戦に特化したMSです。機体名はローマ[[神話]]の神「メルクリウス」に由来します。

武装

プラネイトディフェンサー: 背部に10基装備された円盤状のフィールドジェネレーターです。強力な電磁フィールドで敵のビームを防御しますが、自機やヴァイエイトの攻撃には干渉しません。複数基で敵MSを取り囲み、反応炉を停止させる攻撃的な運用も可能です。ガンダニュウム合金を採用しており、周囲の状況によって特性を変化させ、優れた耐熱・耐衝撃性能を発揮します。分離後は独立して行動し、防御範囲を自在に操作できます。後のビルゴとビルゴIIにも搭載され、ガンダムデスサイズヘルのアクティブクロークにも同様の技術が応用されました。
クラッシュシールド: 対ビーム用の電磁フィールドを展開する円盤型シールドです。完全防御はできませんが、ツインバスターライフル級のビームも威力を減衰させ、持ちこたえることが可能です。中央部からはビームサーベルを展開し、格闘戦に使用されます。このサーベルの技術は、アルトロンガンダムのツインビームトライデントにも応用されました。
ビームガン: ピストル状の小型ビーム砲です。低威力ながら連射性と取り回しに優れ、近距離での牽制に使用されます。

劇中での活躍

ヒイロがヴァイエイトのビームキャノンで破壊を試みますが、プラネイトディフェンサーによって辛くも回避します。その後、ヒイロがテストパイロットとして搭乗し、トロワのヴァイエイトとコンビを組みます。

カトルのウイングゼロとの戦いで大破したヴァイエイトと共にOZに回収されます。

捕虜となったヒイロがウイングゼロで暴走を始めると、カトルは回収されたメリクリウスに搭乗してヒイロを止めようと自爆攻撃を試みますが、ウイングゼロの耐久力の前に失敗します。

後に、ヴァイエイトと同様にMDとして復活し、デュオによって撃破されます。

派生機

ヴァイエイト・シュイヴァン: ビームキャノンとジェネレーターを増設し、砲撃能力を強化した機体。
ヴァイエイト・シュイヴァン改: ヴァイエイト・シュイヴァンを改修し、プラネイトディフェンサーを搭載した機体。
* メリクリウス・シュイヴァン: プラネイトディフェンサーを増設し、防御能力を向上させた機体。ディフェンサーネットと呼ばれる敵機を捕縛する機能も追加されている。

ヴァイエイトとメリクリウスは、『新機動戦記ガンダムW』の世界観を彩る魅力的なMSとして、多くのファンに愛されています。

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