ヴァルガー

サム・スミスとマドンナのコラボレーション「ヴァルガー」

2023年6月9日にリリースされた「ヴァルガー」（Vulgar）は、イギリスの歌手サム・スミスとアメリカの歌手マドンナによる待望のコラボレーションシングルです。この楽曲は、単なる話題性だけでなく、その音楽性やメッセージ性においても注目を集めています。

背景とリリース

サム・スミスは2023年1月に4枚目のアルバム『グロリア』をリリースし、その中に収録されたシングル「アンホーリー」はチャートで1位を獲得するほどの成功を収めました。スミスとキム・ペトラスは、第65回グラミー賞でマドンナから紹介を受け、「アンホーリー」をパフォーマンスしました。マドンナはスピーチで、「道を切り開き非難に耐えてきた反逆者たち」への感謝を表明し、スミスを称えました。

その翌日、スミスはマドンナと共に「ヴァルガー」をレコーディングし、その経験を「創造的で素晴らしい夜」と語っています。5月24日には、スミスがマドンナとのコラボレーションを予告し、その後、二人が黒と白のコルセットを着用したジャケット写真が公開されました。このビジュアルは、二人のイニシャル「S&M」を連想させるもので、大きな話題を呼びました。

スミスは、「ヴァルガー」を「とても特別な曲」だと語り、Apple Music 1でのインタビューでは「私が関わった中でも最もエキサイティングな曲の一つ」と述べています。多くの音楽メディアもこの曲を高く評価し、リリース前から大きな期待を寄せていました。

楽曲構成

「ヴァルガー」は、ヴォーギングの要素を取り入れたダンス・パーティー・アンセムとして、またはクラブ向けの楽曲として特徴づけられます。中東のストリングスやエレクトロの要素も含まれており、独特のサウンドを作り出しています。コーラスがない代わりに、語りの部分が取り入れられているのも特徴的です。

歌詞のテーマは、物議を醸すような態度への容認、セクシーさや自由さ、自己表現、そして「ヘイターが何と言おうと自分がやりたいことをやる」ことの重要性を歌っています。一部の批評家は、歌詞の中にマドンナの「イントゥ・ザ・グルーヴ」との関連性を見出したり、「ビッチ・アイム・マドンナ」との類似性を指摘したりしています。

批評

「ヴァルガー」は、批評家からも様々な評価を受けています。NMEは「官能的な一曲」、OUTは「セクシーな曲」と評し、Slant Magazineは「ふしだらで、キャンピーで、華々しいほどに自己認識に満ちている」と評しました。Entertainment Weeklyは「美味しいバンガー」と評し、マドンナが非難者に向けて厳しい警告を発している点を評価しました。American Songwriterは「大胆で勇敢なアンセム」と評しています。

一方で、ガーディアンは5つ星中2つ星と辛口の評価を下し、「アウトレイジなことをいつもの感じで試みただけ」と評しました。しかし、多くのメディアは、この楽曲が持つエネルギーやメッセージ性を評価しており、賛否両論を巻き起こしながらも、その存在感を示しています。

エコノミック・タイムズは「興奮と才気に溢れた」コラボレーションは互いの優れた官能的な部分を引き出していると評しました。メトロ・ウィークリーも同様の意見を述べています。

ミュージック・ビデオ

楽曲のリリースに合わせて、サム・スミスのYouTubeチャンネルには「ヴァルガー」のヴィジュアライザーがアップロードされています。

「ヴァルガー」は、サム・スミスとマドンナという二人のアイコンが、それぞれの個性をぶつけ合い、新たな表現に挑戦した意欲作と言えるでしょう。

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