世界保健機関

世界保健機関（WHO）

世界保健機関、通称WHOは、1948年に設立された国際連合の専門機関で、ジュネーヴに本部を構えています。この機関は人間の健康を基本的な権利とみなし、それを実現するための活動を行っています。世界保健デーである4月7日は、WHOの設立日でもあり、毎年様々な公衆衛生の重要性を訴える活動が展開されています。

WHOの使命と理念

WHOは「健康」という概念を、単に病気や虚弱でない状態に留まらず、身体的、精神的、社会的に完全な良好な状態であると定義しています。この広範な目標に向けて、WHOは病気の撲滅や医療・医薬品の普及に加え、人々の生活の質を向上させるための努力を続けています。また、基本的人間要請の確立や健康的なライフスタイルの推進にも注力しています。

歴史的背景

WHOの前身には、1907年に設立された国際公衆衛生事務局があり、第一次世界大戦を経て、1946年に新たな国際機関としてのWHOが誕生しました。1948年には正式に設立され、以降様々な健康問題に取り組んできました。

健康問題への取り組み

天然痘の撲滅

WHOの最大の成果の一つは、天然痘の撲滅です。この病気は高い致死率を持っていましたが、種痘による予防法が確立されており、撲滅が可能とされていました。1958年にWHOが天然痘根絶の決議を採択し、各国での予防接種が進められました。1977年に最後の患者が確認され、1980年には正式に撲滅が宣言されました。

ポリオやその他感染症の対策

次にWHOが注力したのは急性灰白髄炎（ポリオ）の撲滅です。1988年から「世界ポリオ撲滅計画」がスタートしましたが、現在でも一部の国ではポリオ患者が発生しており、引き続き取り組みが必要とされています。

多剤耐性菌と感染症対策

2017年、WHOは多剤耐性菌に関する警戒リストを公開し、オリジナルの感染症に対する新たな戦略を提唱しています。抗生物質の適切な使用や新しい治療法の開発が急務とされています。

最近の動向

最近では、2022年にパンデミックの原因となる病原体リストを新たに作成し、監視を強化する方針が示されています。これにより、特に重要な病原体とその監視体制を見直すことが目的です。

組織構造と活動内容

WHOは194の国と地域が加盟しており、年に一度開催される総会が最高意思決定機関とされています。WHOの職員は約8,000人で、様々な公衆衛生の基準を設定し、情報の収集と共有を行っています。また、災害時の緊急対策や健康都市への支援など、多岐にわたる活動を行っています。

財政と資金調達

WHOの活動は加盟国からの分担金や寄付金によって賄われています。分担金はWHOの総資金の約17%に過ぎず、多くは寄付金から成り立っています。主要な寄付者にはビル＆メリンダ・ゲイツ財団が含まれ、寄付金の大半は特定のプロジェクトに使われています。

論争と課題

WHOは過去に様々な論争に直面しており、新型インフルエンザやCOVID-19への対応に関する批判が特に顕著です。特に政治的な圧力や情報の透明性に対する指摘が続いています。

総じて、WHOは公衆衛生の向上を目的とする重要な国際機関であり、その活動は世界中で多大な影響を与えています。

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