中島正

中島 正 (なかじま ただし)

中島正は1910年6月25日に熊本県に生まれ、1996年8月22日に没した、日本の海軍軍人であり航空自衛官です。彼は海兵58期として海軍に所属し、最終的には海軍中佐、そして空将補まで昇進しました。

幼少期と海軍入り

中島は福岡県三池中学校に入学する前に、画家を志望していましたが、従兄弟の勧めで海軍兵学校を受験し、1930年に卒業しました。海軍での遠洋航海中に船酔いで苦しむ彼は、一時は海軍を辞めようと思っていました。しかし、帰国後に受けた航空適性検査で「航空最適、甲の上」という結果を得たことにより、航空部門へと進みました。彼は1932年に少尉に任官し、その後急速に昇進していきました。

太平洋戦争における活動

1941年に太平洋戦争が勃発すると、中島は様々な航空隊を指揮し、特攻隊の活動にも深く関与しました。特に、彼は特攻の恒常化において重要な役割を果たし、他の士官との激しい議論を持つなど、その姿勢には物議を醸しました。特攻のプロセスにおいて「死ぬことに目的がある」という考えを持っていたことから、多くの部下や仲間たちとの関係は複雑なものでした。

1944年には201空飛行長を務める中で、特攻に向けた命令を下し、戦果報告において冷然とした反応を示す一方、周囲の士官たちとの間で意見の相違がしばしば対立を生むこともありました。彼は特攻機の直掩任務を行う際、部下に「攻撃を受けても反撃するな」という厳命を下すなど、特攻の精神的側面を重視していました。

戦後の人生

1945年の終戦後、中島は特攻に関する記録を残すために、皇統護持に関わる活動をしようとしました。彼は特攻隊についての書籍『神風特別攻撃隊』を猪口力平と共著し、戦争の記憶を何らかの形で残すことを目指しました。この本は特攻の正当化や美化に利用されるとともに、特攻の責任を他者に押し付ける内容として批判も受けました。

1954年には航空自衛隊に入隊し、1957年から1959年には第2航空団及び第1航空団の司令を歴任しました。そして1960年には飛行教育集団の司令部に転任し、最終的には空将補として退官しました。

晩年は横浜ゴムに勤務しながら、心臓の健康に不安を抱えつつ陶芸などの静養に励みました。彼の人生は大きな波乱に満ちており、戦争という厳しい時代を生き抜いた日本の歴史の一部を形成しています。1996年に彼はその生涯を終えましたが、彼の活動は今なお多くの議論を呼び起こしています。

著作

中島は1984年に『神風特別攻撃隊の記録』を出版し、その中では特攻の実情や彼自身の考えを反映させています。この書籍は多くの読者に影響を与え、特攻の記憶を語る上での重要な資料とされています。

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