中庸助

中庸助（なか ようすけ）

中庸助は1930年に千葉県で生まれ、2023年にこの世を去った日本の著名な俳優および声優です。旧芸名は中庸介で、長いキャリアの中で多くの舞台や映像作品に出演してきました。彼の役柄は多岐にわたり、悪役から親しみあるキャラクターまで、演技の幅広さが評価されています。

来歴

中は千葉県立千葉第一高等学校を卒業後、1953年に千葉市民劇場に参加しました。彼が芸術の道に進んだ理由は、物書きになりたいという希望からでしたが、演劇の世界に自然と引き込まれ、役者としてスタートすることになります。新劇ブームに乗じて上京し、演劇雑誌『悲劇喜劇』の西沢揚太郎編集長から新劇系劇団を紹介されます。その際、「劇団炎座」に参加することになり、1956年に入団。以後、数つの劇団を経て、活躍の場を広げていきます。

初期の頃、中はテレビドラマ『ダイヤル110番』や『事件記者』などに出演しましたが、なかなか収入が得られず、アルバイトをしながら舞台活動を続ける日々でした。しかし、次第に海外ドラマのアテレコの仕事が舞い込み、安定した生活を得るきっかけとなります。

後に有名なマネージャーと出会い、東映のテレビドラマに出演することになりますが、特に『特別機動捜査隊』での犯人役が印象的です。中は演じる役柄について「悪役が面白い」と発言し、そのスタイルを貫いていきました。やがて、テレビドラマが2時間物に移行すると仕事が減り、声優業を本業とする流れになります。彼はG&B企画や村上事務所を経て、最終的にマウスプロモーションに所属しました。

人物と業績

中庸助は特撮作品や時代劇、刑事ドラマにおいて悪役として多くの役を演じたことで知られています。また代表的な声優作品では、アニメ『ドラえもん』の野比のび助役を担いました。この役は、1992年に前任の加藤正之が体調不良で降板した後、中が急遽オファーを受けて引き継いだものでした。彼はこの機会を「友としての責任」として引き受けたとも語っています。後に2005年に交代するまで、この役を続けました。

彼は数多くのテレビ番組や映画、舞台で活躍しましたが、演技の際には自分から提案することも多くありました。特に『仮面ライダー (スカイライダー)』では、演じる役に対して独自のメイクを施したことでも知られています。また、演技への情熱だけでなく、共演者との微笑ましいエピソードも多く、彼の人柄を感じさせます。

エピソード

中庸助のエピソードには、彼の人間味を表す多くのストーリーがあります。例えば、彼は高所恐怖症であったため、高所から飛び降りるシーンがカットされるというエピソードや、撮影中に寺尾聰に怪我をさせてしまい心残りになったことなどです。これらのエピソードを通じて、彼の俳優としての真摯な姿勢や、共演者との良好な関係が伺えます。

2023年に彼は93歳で亡くなり、その訃報は多くのファンに深い悲しみを残しました。彼の晩年も多くの方々に愛され、受け継がれていくことでしょう。中庸助はただの俳優や声優ではなく、その演技と存在感で時代を超えて人々に影響を与え続ける存在です。

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