亀の子束子西尾商店

株式会社亀の子束子西尾商店

株式会社亀の子束子西尾商店は、東京都北区に本社を構え、たわしを中心とした家庭用品を製造販売する日本の企業です。特に、主力商品である「亀の子束子」は、その独特な形状と使いやすさで、長年にわたり愛され続けています。

沿革

1907年（明治40年）：西尾正左衛門が「亀の子束子」を発明し、西尾正左衛門商店として創業。
1908年（明治41年）：実用新案および「亀の子束子」の商標登録を取得。
1915年（大正4年）：特許取得（7月2日を「たわしの日」に制定）。
1923年（大正12年）：関東大震災により店舗が損壊し、北区滝野川に移転。
1931年（昭和6年）：滝野川工場（現・本社工場）を新築。
1942年（昭和17年）：有限会社西尾製作所に改組。
1948年（昭和23年）：株式会社に改組し、現商号に変更。
1953年（昭和28年）：西尾慶太郎が二代目代表取締役社長に就任。
1973年（昭和48年）：新潟工場を開設。
1982年（昭和57年）：西尾康太郎が三代目代表取締役社長に就任。
1991年（平成3年）：西尾松次郎が四代目代表取締役社長に就任。
2006年（平成18年）：オンラインショップを開設。
2011年（平成23年）：和歌山工場を開設。
2012年（平成24年）：西尾智浩が五代目代表取締役社長に就任。
2013年（平成25年）：「亀の子束子1号」がグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。
2014年（平成26年）：台東区谷中に直営店を開設。
2015年（平成27年）：「亀の子スポンジ」を発売。
2020年（令和2年）：谷中店を文京区根津に移転。

亀の子束子

亀の子束子は、創業者である西尾正左衛門が1907年に考案した、ヤシの実の繊維を針金で束ねて成形したたわしです。その形状が亀の甲羅に似ていることから名付けられました。松下幸之助の「二股ソケット」、石橋正二郎の「ゴム足袋」と並び「日本三大発明」と称されています。

誕生秘話

当初、西尾正左衛門は棕櫚製の靴拭きマットを考案しましたが、類似品が既に存在したため特許取得を断念。売れ残りのマットを妻が掃除に使っているのを見たことがきっかけとなり、たわしの開発に着手しました。試行錯誤の末、材料を棕櫚からパームに変更し、現在の亀の子束子の原型が完成しました。

特許と商標

1915年に特許を取得しましたが、類似品が多数出回ったため、広告戦略や包装の工夫で差別化を図りました。「亀の子束子」は1908年に商標登録されており、現在も有効な商標が存在します。しかし、その知名度の高さから、一般名詞化している側面もあります。

原材料と製法

原材料には、繁殖力が高く安定供給が可能なスリランカ産のパームを使用しています。戦時中は棕櫚を使用したこともありました。製法は現在も職人による手作業が中心で、厳しい品質管理を経て出荷されています。

主な商品

白いたわし: パームまたはサイザルアサを脱色した、デザイン性の高い商品。
健康たわし: 体を洗うための浴用たわし。
* 亀の子スポンジ: 抗菌剤を練り込んだ、シンプルなスポンジ。

現在の代表取締役社長・西尾智浩

五代目社長である西尾智浩は、創業者のひ孫にあたります。就任前はプロのギタリストとして活躍していました。ミュージシャンとしての経験を活かし、商品企画からブランディングまで幅広く手掛けています。

近年では、直営店事業の展開や、亀の子束子以外の新商品開発にも力を入れています。伝統を守りながらも、時代の変化に対応した新しい挑戦を続けています。

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