五月会
五月会（さつきかい）は、埼玉県東松山市を拠点に活動する音楽団体です。音楽を通じた地域文化の振興と次世代育成を目指す非営利の任意団体として、多岐にわたる活動を展開しています。その柱となるのは、傘下に複数の合唱団を擁する運営事業、地域における音楽普及・啓発活動、そして音楽家を志す若い才能への後援です。
五月会の歴史は、1950年頃に中学校で音楽教師を務めていた小山伸氏が、自宅を開放して希望者にピアノを教え始めたことに遡ります。創設当初、毎年5月に生徒たちの発表会を開催していたことから、「五月会」という名称が使われるようになりました。
合唱活動への発展を象徴するのが、「合唱の夕べ」です。1962年8月12日には、埼玉県立松山高等学校の講堂で第1回が開催されました。
五月会の活動基盤を確立する上で欠かせないのが、小山伸氏の妻である小山貞子氏の存在です。小学校の音楽教師を退職した貞子氏は、その退職金を投じて1963年に自宅敷地内に練習専用のホール（通称・小山ホール）を建設しました。以来、半世紀以上にわたり、五月会が運営するすべての合唱団がこのアットホームな空間を主要な練習場として利用しています。
傘下の東松山ユンゲルコールは、五月会の活動の中核を担い、数々の実績を築いてきました。1976年には全日本合唱コンクールに関東大会へ初進出し銀賞を受賞。同年11月16日の第15回合唱の夕べからは、新設された東松山文化会館（現在の東松山市民文化センター）を主要な演奏会場として利用を開始しました。1978年には北海道函館市で開催された全日本合唱コンクール全国大会へ満を持して初出場を果たしました。1983年11月5日には、第22回合唱の夕べで著名な作曲家・高田三郎氏を客演指揮者に迎え、同氏の代表作「水のいのち」を演奏するなど、精力的な活動を展開しました。
ユンゲルコールは、1984年に大阪府で開催された第37回全日本合唱コンクール全国大会で銅賞を獲得して以降、1991年まで実に8年連続で全国大会出場という輝かしい記録を打ち立てました。
国内での活動に加え、国際交流にも積極的に取り組みました。1993年12月からはドイツのミューラウとロートを訪れ、現地の教会でヘンデルのオラトリオ「メサイア」を演奏する演奏旅行を実施。1997年8月25日には大韓民国のソウルへ演奏旅行を行い、ソウル・バッハクワイヤーとのジョイントコンサートを開催しました。この合同演奏では、メンデルスゾーンのオラトリオ「エリヤ」に加え、当時の韓国内では珍しく「さくら」などの日本の歌曲を日本語で披露し、文化交流を深めました。2001年7月28日にもソウルを再訪し、2002 FIFAワールドカップの日韓共催に先立つ親善演奏として、前回同様ソウル・バッハクワイヤーとの合同演奏を世宗文化会館で行っています。
これらの長年にわたる五月会の功績に対し、1998年には小山貞子氏が第7回志鳥音楽賞を受賞しました。同年11月7日の第37回合唱の夕べは、この受賞を記念した演奏会として開催され、会場で表彰式が執り行われました。
五月会は、年齢や性別、経験に応じた多様な合唱団を運営しており、全ての団体は小山貞子氏またはその門下生によって指導・指揮されています。
東松山ユンゲルコール（Higashimatsuyama Junger Chor）: 高校生以上の男女による混声合唱団で、会内で最も規模が大きく、活動の中心を担っています。
東松山フラウエンコール: 高校生以上の女性による女声合唱団です。ユンゲルコールの女性メンバーとは基本的に別のメンバーで構成されており、独立した団体として活動しています。
東松山メンネルコール: 高校生以上の男性による男声合唱団。主にユンゲルコールの男性メンバーが男声合唱のレパートリーを演奏する際に使用する名義です。
東松山少年少女合唱隊Aチーム: 小学4年生から中学生までの男女を対象とした少年少女合唱団です。
東松山少年少女合唱隊Bチーム: 小学1年生から小学4年生までの男女を対象とした少年少女合唱団です。
東松山リープヒェンコール: 就学前の幼児を対象とした団体で、指導者によれば「トイレに一人で行けるようになったら」参加可能とのことです。
エーヴィッヒリート: 東松山フラウエンコールと、埼玉県坂戸市の若葉女声コーラス（いずれも小山貞子氏指揮）が合同で演奏する際に使用する女声合唱団としての名義です。
かつては全日本合唱コンクールでの上位入賞を目指した練習が中心でしたが、1990年代半ば頃に全日本合唱連盟を脱退して以降、活動方針を転換しています。現在はコンクールにとらわれず、地域社会での音楽普及活動や国内外の合唱団・オーケストラとの共演などを通じて、より開かれた音楽活動を展開しています。2006年にはユンゲルコールが設立45周年を迎え、記念コンサートを開催しました。
また、五月会はメンバーやOB・OGの中でプロの音楽家を目指す若手への支援も積極的に行っています。会のメンバーから寄付を募り、海外留学中のメンバーへ資金援助を行ったり、舞台発表を行うメンバーのチケット斡旋を担ったりするなど、具体的なサポートを通じて音楽家の育成にも貢献しています。
五月会からは、社会の様々な分野で活躍する人材を輩出しています。
坂本祐之輔: 東松山市長。
* 林美智子: 世界的に活躍するメゾソプラノ歌手。
五月会は「愛し合って許し合って皆が家族」というモットーを掲げ、音楽を通じた温かいコミュニティを大切にしながら活動を続けています。
沿革
五月会の歴史は、1950年頃に中学校で音楽教師を務めていた小山伸氏が、自宅を開放して希望者にピアノを教え始めたことに遡ります。創設当初、毎年5月に生徒たちの発表会を開催していたことから、「五月会」という名称が使われるようになりました。
合唱活動への発展を象徴するのが、「合唱の夕べ」です。1962年8月12日には、埼玉県立松山高等学校の講堂で第1回が開催されました。
五月会の活動基盤を確立する上で欠かせないのが、小山伸氏の妻である小山貞子氏の存在です。小学校の音楽教師を退職した貞子氏は、その退職金を投じて1963年に自宅敷地内に練習専用のホール（通称・小山ホール）を建設しました。以来、半世紀以上にわたり、五月会が運営するすべての合唱団がこのアットホームな空間を主要な練習場として利用しています。
傘下の東松山ユンゲルコールは、五月会の活動の中核を担い、数々の実績を築いてきました。1976年には全日本合唱コンクールに関東大会へ初進出し銀賞を受賞。同年11月16日の第15回合唱の夕べからは、新設された東松山文化会館（現在の東松山市民文化センター）を主要な演奏会場として利用を開始しました。1978年には北海道函館市で開催された全日本合唱コンクール全国大会へ満を持して初出場を果たしました。1983年11月5日には、第22回合唱の夕べで著名な作曲家・高田三郎氏を客演指揮者に迎え、同氏の代表作「水のいのち」を演奏するなど、精力的な活動を展開しました。
ユンゲルコールは、1984年に大阪府で開催された第37回全日本合唱コンクール全国大会で銅賞を獲得して以降、1991年まで実に8年連続で全国大会出場という輝かしい記録を打ち立てました。
国内での活動に加え、国際交流にも積極的に取り組みました。1993年12月からはドイツのミューラウとロートを訪れ、現地の教会でヘンデルのオラトリオ「メサイア」を演奏する演奏旅行を実施。1997年8月25日には大韓民国のソウルへ演奏旅行を行い、ソウル・バッハクワイヤーとのジョイントコンサートを開催しました。この合同演奏では、メンデルスゾーンのオラトリオ「エリヤ」に加え、当時の韓国内では珍しく「さくら」などの日本の歌曲を日本語で披露し、文化交流を深めました。2001年7月28日にもソウルを再訪し、2002 FIFAワールドカップの日韓共催に先立つ親善演奏として、前回同様ソウル・バッハクワイヤーとの合同演奏を世宗文化会館で行っています。
これらの長年にわたる五月会の功績に対し、1998年には小山貞子氏が第7回志鳥音楽賞を受賞しました。同年11月7日の第37回合唱の夕べは、この受賞を記念した演奏会として開催され、会場で表彰式が執り行われました。
活動内容
五月会は、年齢や性別、経験に応じた多様な合唱団を運営しており、全ての団体は小山貞子氏またはその門下生によって指導・指揮されています。
東松山ユンゲルコール（Higashimatsuyama Junger Chor）: 高校生以上の男女による混声合唱団で、会内で最も規模が大きく、活動の中心を担っています。
東松山フラウエンコール: 高校生以上の女性による女声合唱団です。ユンゲルコールの女性メンバーとは基本的に別のメンバーで構成されており、独立した団体として活動しています。
東松山メンネルコール: 高校生以上の男性による男声合唱団。主にユンゲルコールの男性メンバーが男声合唱のレパートリーを演奏する際に使用する名義です。
東松山少年少女合唱隊Aチーム: 小学4年生から中学生までの男女を対象とした少年少女合唱団です。
東松山少年少女合唱隊Bチーム: 小学1年生から小学4年生までの男女を対象とした少年少女合唱団です。
東松山リープヒェンコール: 就学前の幼児を対象とした団体で、指導者によれば「トイレに一人で行けるようになったら」参加可能とのことです。
エーヴィッヒリート: 東松山フラウエンコールと、埼玉県坂戸市の若葉女声コーラス（いずれも小山貞子氏指揮）が合同で演奏する際に使用する女声合唱団としての名義です。
かつては全日本合唱コンクールでの上位入賞を目指した練習が中心でしたが、1990年代半ば頃に全日本合唱連盟を脱退して以降、活動方針を転換しています。現在はコンクールにとらわれず、地域社会での音楽普及活動や国内外の合唱団・オーケストラとの共演などを通じて、より開かれた音楽活動を展開しています。2006年にはユンゲルコールが設立45周年を迎え、記念コンサートを開催しました。
また、五月会はメンバーやOB・OGの中でプロの音楽家を目指す若手への支援も積極的に行っています。会のメンバーから寄付を募り、海外留学中のメンバーへ資金援助を行ったり、舞台発表を行うメンバーのチケット斡旋を担ったりするなど、具体的なサポートを通じて音楽家の育成にも貢献しています。
著名な出身者
五月会からは、社会の様々な分野で活躍する人材を輩出しています。
坂本祐之輔: 東松山市長。
* 林美智子: 世界的に活躍するメゾソプラノ歌手。
五月会は「愛し合って許し合って皆が家族」というモットーを掲げ、音楽を通じた温かいコミュニティを大切にしながら活動を続けています。
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