交通遺児育英会

公益財団法人交通遺児育英会

公益財団法人交通遺児育英会は、交通事故により親を亡くした子どもたちや重度障害のため就労が困難な家庭の子どもに対し、無利子で学資を貸与し、教育の機会を提供することを目的とした組織です。また、設立以来、日本社会で必要とされる人材を育てることにも寄与しています。この法人は、2011年4月1日より公益財団法人へと移行しました。

設立の背景

1967年、モータリゼーションの進展に伴い交通事故による被害者が急増しました。この背景の中で、「交通事故遺児を励ます会」が設立され、高校進学を支援する運動が始まりました。この取り組みは多くの母親たちの願いで、次第に世論を巻き込んで広がっていきました。結果的に「政府は育英財団の設立を支援すべき」とする異例の国会決議が承認され、1970年（昭和44年）には「交通遺児育英会」が正式に設立されました。

由来と奨学金制度

1979年には「あしながおじさん奨学金制度」が開始され、支援者を「あしながおじさん」と名付けました。この名称は、アメリカの女流作家ジーン・ウェブスターの小説『あしながおじさん』に由来し、孤児院の少女とその支援者との温かい交流を描いています。この制度により、様々な寄付者から支援が集まり、交通遺児の教育をサポートしています。

事業内容

奨学金

交通遺児育英会では、高校生や大学生、大学院生などに対して、無利子で奨学金を貸与しています。2020年からは、大学や短大に進学する奨学生に対し、月額2万円の給付を開始し、2023年度からは高校奨学生にも月1万円の給付を行っています。設立以来、累計で58,253人に579億円以上の奨学金を提供し、その成果として多くの学生が高等教育を修了しています。

修学支援金給付

また、賃貸住居から通学する奨学生には、月額1万5千円の家賃補助や、大学受験の際の受験料補助、自動車運転免許取得費用の半額補助なども行っています。特に運転免許の取得は、就職活動においても重要なスキルとなるため、多くの奨学生にとって有意義な支援です。

指導と育成

交通遺児育英会は、奨学生に対して成績や生活状況の把握を行い、その指導にも力を入れています。地域での交流会や海外語学研修などを通じて、奨学生の国際感覚やコミュニケーションスキルを育てています。これにより、彼らが社会の一員として将来的に活躍できるようサポートしています。

学生寮「心塾」

さらに、学生寮「心塾」も設置され、地方出身の交通遺児が安心して首都圏や関西圏の大学に通えるよう配慮されています。この寮では就職支援や多様な講座も提供しています。

交通安全運動と広報活動

交通遺児育英会は、交通安全の重要性を広める活動も展開しています。無料の出張講演や冊子の配布などを通じて、交通事故防止に寄与しています。また、広報紙「君とつばさ」では、奨学生や支援者の声を掲載し、コミュニティとの連携を強化しています。

このように公益財団法人交通遺児育英会は、交通事故の遺児たちへの重要な支援を行い、彼らが未来に向かって自立できるよう、多岐にわたって活動を展開しています。

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