京都市営地下鉄東西線

京都市営地下鉄東西線：京都の東西を結ぶ生活路線

概要

京都市営地下鉄東西線は、京都府宇治市の六地蔵駅から京都市右京区の太秦天神川駅までを結ぶ、全長17.5kmの路線です。1997年の醍醐～二条間開業以来、段階的な延伸を経て、2008年に現在の全長に到達しました。ラインカラーは朱[[色]]、路線記号は「T」で、1日平均18万人を超える利用客が通勤・通学、観光など様々な目的で利用しています。

路線の特徴

東西線は、その名の通り京都市の中心部を東西に貫く路線として計画されましたが、実際には南北方向の区間も含まれ、六地蔵駅から山科駅までは伏見区東部と山科区を南北に走り、山科駅から太秦天神川駅までは中心部を東西に走っています。

全駅にフルスクリーンタイプのホームドアが設置されているのも大きな特徴です。これは東京メトロ南北線に次ぐ、国内2例目の導入事例となりました。また、各駅にはステーションカラーと呼ばれるシンボルカラーが設定されており、ホームドアや駅名表示など、駅全体のデザインに統一感を持たせています。

運行形態と利用状況

東西線では、京都市交通局の車両に加え、京阪電気鉄道京津線からの直通運転も行われています。京津線からの直通列車は、びわ湖浜大津駅から太秦天神川駅まで運行され、日中の運転間隔は20分間隔です。

東西線沿線は、山科区や伏見区東部など、近年人口増加が著しい地域をカバーしています。これらの地域は住宅地や団地が多く、京都や大阪へのベッドタウンとしての役割も担っています。しかし、道路整備が人口増加に追いついていないため、慢性的な渋滞が発生していました。東西線の開業は、これらの地域の交通アクセスを劇的に改善しました。

開業にあたり、沿線の市バス路線が京阪バスに移管されるなど、バス路線網も再編されました。現在、京阪バスは東西線と競合する路線を運行しており、運賃の安さや四条河原町へのアクセスなどから、東西線の有力な競争相手となっています。

また、東西線はJR山科駅、二条駅などでの乗り換えにより、滋賀県方面や京都府南丹方面へのアクセスも向上させています。沿線には平安神宮、南禅寺、二条城など多くの観光地も存在しますが、現状では観光客の利用は多くありません。京都市は、JR西日本と共に山科駅での乗り継ぎを積極的にPRし、観光客の利用促進を目指しています。

車両

東西線では、京都市交通局と京阪電気鉄道の車両が運行されています。京都市交通局は50系車両を使用しており、京阪電気鉄道は800系（2代）車両を使用しています。

歴史

東西線の建設は、1960年代から計画が始まり、1969年に市議会で正式決定されました。当初は1994年の平安建都1200年を目標としていましたが、埋蔵文化財の発掘調査やフルスクリーンタイプのホームドア採用などにより、開業が遅れることとなりました。

特に、御陵駅～三条京阪駅間の建設は、京阪京津線との競合問題が大きな課題となりました。協議の結果、第三セクター会社「京都高速鉄道株式会社」を設立し、京阪京津線の地上区間廃止と地下鉄への乗り入れを実現しました。

1997年に醍醐～二条間が開業し、京阪京津線の乗り入れが始まりましたが、当初は京都市役所前駅まででした。これは、三条京阪駅付近の空間が折り返し運転に不向きだったこと、輸送力過剰による烏丸線との接続問題などが理由です。その後、1999年に六地蔵～醍醐間、2002年に二条～太秦天神川間の延伸工事が始まり、2008年に全線が完成しました。

今後の展望

東西線は現在も赤字経営が続いていますが、2009年には京都高速鉄道が解散し、全線が京都市交通局による直接経営となりました。

また、当初から計画されていた洛西方面への延伸計画がありますが、京都市の財政状況が厳しいことから、実現には至っていません。今後の財政状況や地域ニーズを踏まえた上で、延伸計画の検討が続けられています。

災害対策

2013年の台風18号では、御陵駅が冠水し、一部区間で運休が発生しました。この経験を踏まえ、安祥寺川への水位計設置、排水ポンプ設備の改良など、災害対策の強化が進められています。

駅一覧

東西線には17駅があり、全駅にエレベーターやエスカレーターが設置されるなど、バリアフリーにも配慮されています。各駅にはユニークなステーションカラーが採用され、個性豊かな駅となっています。

発車メロディー

東西線では、全駅に京都の歴史を感じさせる発車メロディーが導入されています。これらのメロディーは、JR東日本の発車メロディーを手掛けた櫻井音楽工房によるものです。

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