人工地震

人工地震とは

人工地震とは、人間の活動によって引き起こされる地震動のことです。自然に発生する地震（自然地震）とは異なり、地中探査や核実験の監視など、様々な目的で意図的に発生させられます。土木工事での発破も地震波を発生させますが、人工地震とは区別されます。

人工地震の特徴

人工地震と自然地震は、地震波の特性によって区別できます。人工地震による地震波は、P波に比べてS波が小さく、表面波が卓越する傾向があります。また、P波の初動はすべての観測点で押し波となり、波形が単純で立ち上がりが鋭いといった特徴があります。震源の深さがほぼ0であることも、人工地震の特徴の一つです。これらの特徴を利用して、自然地震と人工地震を判別することができます。

人工震源

人工地震を発生させるための装置を人工震源と呼びます。主な種類は以下の通りです。

爆薬：ダイナマイトなどが使われますが、危険物の取り扱いや環境への影響から、他の方法に切り替わりつつあります。
エアガン：水中で圧縮空気を放出します。水中での探査によく利用されます。
ウォーターガン：水中に水を放出します。エアガンと異なり、気泡が発生しないためノイズが少ないです。
スパーカー：水中で放電させます。高周波であるため、微細な構造の探査に適しています。
サンパー：重りを地面に落下させます。
バイブロサイス：振動させてスイープ波を発生させます。瞬間的なパルス波ではないため、環境への影響が少ないです。

人工地震探査

人工地震は、地下構造を探査するために利用されます。地震波の反射を利用する反射法や、屈折を利用する屈折法などがあります。自然地震の地震波も、地球深部の探査に利用可能です。人工地震による探査は、震源と発生時刻が正確に把握できるため、地震が起こりにくい地域でも調査できるという利点があります。

人工地震観測

人工地震の観測は、地下構造の推定に役立ちます。自然地震と比較して波形が単純であるため、地震波トモグラフィーなどに活用しやすいです。また、核実験の監視にも利用されており、国際的に認められていない核保有国の秘密裏の核実験を探知するために使用されています。

核実験による人工地震

地下核実験は、人工地震を引き起こす可能性があります。過去には、大規模な地下核実験でマグニチュード6を超える地震動が観測された例もあります。しかし、これらの地震は、地上での揺れとしては軽微なものでした。北朝鮮の核実験でも、マグニチュード4程度の揺れが観測されています。

アメリカとロシア・ソ連における人工地震

アメリカでは、アムチトカ島で行われた地下核実験で、マグニチュード6.97の人工地震が記録されました。一方、ロシア・ソ連では、ノヴァヤゼムリャで行われた核実験で、同様の規模の揺れが発生したと報告されています。ただし、これらの記録は報道によるもので、公式な記録には記述がない場合もあります。

北朝鮮における人工地震

北朝鮮は、過去に複数回の核実験を実施しており、その際にマグニチュード4以上の揺れが観測されています。特に2017年の核実験では、その後も地震が観測されており、核実験が誘発した地震であると結論付けられました。

誘発地震

人工的な原因で引き起こされる自然地震は、「誘発地震」と呼ばれ、人工地震と混同されることがあります。誘発地震は、陰謀論と関連付けられることが多く、誤った情報が拡散されることがあります。

過去には、意図的に地震を発生させる実験で、予想よりも大きな地震が発生した事故も発生しています。このことから、地盤が弱い場所では、比較的少ないエネルギーでも地震を誘発できる可能性が示唆されています。

まとめ

人工地震は、地中探査や核実験監視などの様々な目的に利用されています。人工震源を用いた地震波の発生から、自然地震との判別、そして核実験監視への応用まで、その技術は多岐に渡ります。しかし、誘発地震のように意図せず引き起こされる地震も存在し、注意が必要です。

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