人生観

人生観とは

人生観とは、人がそれぞれの人生や人間全体について抱く、様々な観念や見方のことです。人生に対する理解や態度とも言えます。人生観は、人それぞれ異なるものであり、その内容は多岐にわたります。

人生観の多様性

人生観には、漠然としたものから非常に明確なものまで、様々なタイプが存在します。簡潔なものもあれば、人生の目標や価値観、具体的な生き方まで含む体系的なものもあります。また、人生観は感情的な要素を多く含み、単なる事実の記述ではなく、態度決定や価値判断に大きく関わるのが特徴です。

人生観の形成には、個人の思想や信仰が影響を与えることがあります。また、時代背景、政治体制、社会環境といった外部からの影響も無視できません。さらに、性別による影響や、生まれつきの性格や気質も人生観を形成する要因となります。人生観は、生涯を通じてあまり変化しないこともあれば、年齢を重ねるにつれて変化することもあります。また、人生における様々な経験や体験によっても、変化することがあります。

幼少期から親の生き方や語りを聞いて育った場合、その影響を強く受けることがあります。一方で、親の生き方に反発することで、自身の人生観を形成することもあります。また、親の生き方や人生観とは全く関係なく、独自の人生観を形成する人もいます。人生の途中で良き指導者や尊敬できる人物に出会うことで、人生観が積極的に変わることもあります。海外旅行などで異なる生き方に触れ、価値観の多様さに気づき、人生観を根本から変える人もいます。

人生観と行動

人生観は単なる観念にとどまらず、意識的、無意識的に関わらず、その人の判断基準や行動選択に影響を与え、長期的に見れば、その人の人生に大きな影響を与えることが多いです。「人生とは～である」といった一般論の形で語られる人生観も、実際には個人の人生について語っているに過ぎない場合や、特定の集団の人生についてしか語っていない場合があります。そのような場合は、「私の人生は～でありたい」「私の人生は～だった」と読み替えることで、語り手の心情を理解したり、人生の多様性を学ぶことができます。

現代の日本では、小中学生の作文や卒業文集に人生観が現れることがあります。子供の文章は、大人の文章とは異なり、技巧に走らず遠慮がない分、かえって人生観の核心が表れている場合があります。また、かつての武士が残した辞世の句にも、その人物らしい人生観が表現されています。

人生観を発想の源に

人生観は一つではなく、人は意識的に人生観を選ぶことで、自分の発想や行動を変えることができます。飯田史彦氏によると、人生を価値あるものと認識するためには、様々な出来事に対して多様な意味解釈ができるような人生観を選ぶ必要があると述べています。

例えば、「死＝すべての終わり」と捉えるよりも、「死＝異なる世界への旅立ち」と捉える方が、人生をより長い視点で見ることができます。さらに、「死＝異なる世界への旅立ち＋次の人生の始まり」と捉えれば、より長期的な視野で物事を捉えることができます。

最も人生の意味を見出しにくいのは、「すべての出来事は偶然の積み重ね」と考える人生観です。すべてが偶然だと考えると、「努力しても無駄だ」という考えに陥り、ポジティブな行動を起こすことが難しくなります。少なくとも、「人生は一度きりだが、何らかの法則が働いている」という人生観を持てば、様々な出来事に意味を見出すことができるようになります。「自分の言動が原因となり、結果がもたらされる」と考えることで、目標達成に向けて努力する意欲が湧いてきます。

飯田氏は、最も豊かな意味づけを可能にするのは、「自分たちはある法則のもとで人生を何度も繰り返しながら成長している」という人生観だと述べています。この人生観を採用することで、「今の人生は次の人生の土台となる」と考え、日々を大切に生きるよう努めることができます。また、この人生観は、人生の状況を客観的に捉え、感情的な反応を避けることにも繋がります。例えば、「今の親は、以前の人生では自分の子供だったかもしれない」とか、「現在の配偶者は、以前の人生で別の役割を果たしていたかもしれない」と考えることで、目先の感情に囚われず、広い視野で人生を捉えることができるようになります。

飯田氏は、このような人生観をスピリチュアリティと呼び、「人生を前向きに生きるための思考法」として、教育現場でも活用できるとしています。

まとめ

人生観は、私たちが人生をどのように捉え、どのように生きるかを左右する重要なものです。様々な人生観を知り、自分自身の人生観を深めることは、より豊かな人生を送るための第一歩となるでしょう。

参考文献

飯田史彦、吉田武男『スピリチュァリティ教育のすすめ: 「生きる意味」を問い「つながり感」を構築する本質的教育とは』PHP研究所、2009年。
福田常雄『もっと楽に生きられる―「菜根譚」で変わる人生観』読売新聞社、1998
間瀬雅夫『聖書を生きる〈2〉キリスト教の人生観・世界観』ドンボスコ社1999 ISBN 978-4886262462
石原慎太郎『法華経を生きる』幻冬舎、2000、ISBN 978-4344400016
山本七平『日本人の人生観』講談社学術文庫、1978
内藤幹治『中国的人生観・世界観』東方書店 1994
吉川英治、松本昭『われ以外みなわが師 (わが人生観)』大和出版、1983、ISBN 4804730184
勢古浩爾『結論で読む人生論―トルストイから江原啓之まで』草思社、2006、ISBN 978-4794214980

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