仏眼

仏眼（ぶつげん）は、平安時代中期に活躍した僧侶であり、生没年は明らかになっていません。河内国（現在の大阪府南部）の石川寺、後の叡福寺に住み、仏眼上人とも称されました。

花山院（かざんのいん、968年 - 1008年）が西国三十三所霊場を巡礼した際、播磨国（現在の兵庫県南西部）の圓教寺（えんぎょうじ）の性空（しょうくう）の勧めにより、仏眼が先達（せんだつ、道案内役）を務めたと伝えられています。この巡礼に関する記述は、『中山寺来由記』や『谷汲山根元由来記』などの文献に見られます。

仏眼ゆかりの寺院や地としては、以下のものが挙げられます。

仏眼寺 (豊中市)：大阪府豊中市熊野町に位置します。
六甲比命神社付近の仰臥岩：熊野権現、花山法皇、仏眼上人の連名の碑が現存し、当時の信仰の様子を伝えています。
宝珠寺 (豊中市)：同じく大阪府豊中市熊野町にあり、石造三重宝篋印塔2基が、花山院と仏眼上人の墓塔として伝えられています。
仏眼寺 (太子町)：大阪府太子町に位置し、叡福寺の近くにあります。

これらの寺院や史跡は、仏眼が花山院の巡礼を先導したという伝承を裏付けるものとして、歴史的な価値を持っています。特に、豊中市の熊野町には、仏眼寺と宝珠寺が近接しており、この地域が仏眼と花山院にとって重要な場所であったことを示唆しています。また、六甲比命神社の仰臥岩に残る碑は、当時の人々の信仰心や、仏眼が地域社会に与えた影響を物語る貴重な資料と言えるでしょう。

仏眼に関する史料は限られていますが、これらの寺院や史跡を通じて、平安時代中期の仏教文化や、花山院の巡礼という歴史的出来事における仏眼の役割を垣間見ることができます。

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