仙台市天文台

仙台市天文台：歴史と魅力あふれる宇宙への窓

仙台市天文台は、宮城県仙台市青葉区錦ケ丘に位置する仙台市立の天文台です。1955年に市民の熱意と寄付によって誕生し、以来、地域に愛される天文教育・普及施設として発展を続けてきました。2008年には錦ケ丘へ移転、最新の設備を導入した近代的な天文台として生まれ変わっています。2023年春にはプラネタリウムのリニューアルも完了し、より魅力的な施設となっています。

歴史：市民の願いから生まれた天文台

1950年代前半、仙台に天文台を建設しようという機運が高まりました。有志による建設発起人会や建設委員会が設立され、市民からの募金活動や建設工事が行われた結果、1955年、西公園の仙台市公会堂跡地に「仙台天文台」が開台しました。翌年には仙台市に寄贈され、「仙台市天文台」となりました。初代台長には東北大学教授の加藤愛雄氏が就任しています。開台当時は、国内最大級のカセグリン式41センチ望遠鏡を備え、当時としては最先端の観測設備を誇っていました。

当初は文化観光課が管理運営を行っていましたが、1960年には仙台市教育委員会に移管され、天文台実習や普及講座など、教育施設としての役割を担うようになりました。その後も、屋外天球儀の設置（1962年）、展示室の併設（1964年）、そして東北大博覧会出展後に河北新報社から寄贈されたプラネタリウムの開館（1968年）など、施設は順次拡張されていきました。老朽化や耐震性の問題、地下鉄工事の影響なども踏まえ、2007年に西公園の旧天文台を閉鎖、翌2008年に現在の錦ケ丘へ移転しました。移転に伴い、仙台市泉区にあった「仙台市こども宇宙館」の機能も統合されました。

成果：小惑星の発見

仙台市天文台は、小惑星の発見にも貢献しています。2008年までに21個の小惑星を発見し、いずれも仙台にゆかりのある名前が付けられています。例えば、1988年に発見された小惑星には「愛子」という名前が付けられています。これは、当時存在した「愛子観測所」にちなんだものです。

設備：充実した展示と観測環境

現在の仙台市天文台は、1階に展示室、プラネタリウム、ホール、ミュージアムショップ、天文ライブラリなどを備えています。展示室では、模型やCGを用いた分かりやすい解説を通して、地球や太陽系、銀河系などを学ぶことができます。また、江戸時代の天文学器機である渾天儀、天球儀、象限儀など、重要文化財に指定されている貴重な資料も展示されています。270席を備えた直径25メートルの水平型プラネタリウムは、光学式とデジタル式を組み合わせた複合システムで、迫力ある星空を再現します。2階には学習室や資料室、3階には口径1.3メートルの大型望遠鏡「ひとみ望遠鏡」を備えた観測室や観測デッキがあります。「ひとみ望遠鏡」は、17等星までの観測が可能です。

屋外には太陽系の惑星の軌道をデザインした「惑星広場」が広がり、無料の駐車場や駐輪場も完備されています。

利用情報

開館時間は午前9時から午後5時まで（土曜日は午後9時30分まで）。休館日は毎週水曜日、第3火曜日（祝日の場合は翌日）、年末年始です。ただし、学校の長期休暇期間中は開館しています。観覧料は、展示室とプラネタリウムそれぞれに設定されており、セット券や年間パスポートも用意されています。仙台都市圏や周辺都市圏で発行される「どこでもパスポート」や「AZ9パスポート」を利用すれば、宮城県在住の小中学生は無料で利用できます。

アクセス

仙台駅からバスで約20～30分、愛子駅からバスで約10分です。

まとめ

仙台市天文台は、市民の熱意と努力によって築き上げられ、現在も進化を続ける天文台です。最新の設備と充実したプログラムで、宇宙への興味関心を育む場として、多くの人々に親しまれています。気軽に訪れて、宇宙の神秘に触れてみてください。

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