伊良コーラ

伊良コーラ：クラフトコーラのパイオニア

伊良コーラは、東京都新宿区で製造・販売されている日本のクラフトコーラです。 創業者の小林隆英氏（通称：コーラ小林）は、インターネットで偶然見つけたコカ・コーラの初期レシピと、和漢方職人であった祖父が残した資料を元に、独自のコーラ開発に着手しました。

意外な発端と祖父の遺産

小林氏は、北海道大学農学部から東京大学大学院生命科学研究科を卒業後、広告代理店アサツー ディ・ケイに入社。酒を好まずコーラを愛飲していた彼は、世界各国で様々なコーラを味わう中で、自ら理想のコーラを作りたいと考えるようになりました。

最初の試作は成功とは言えませんでしたが、インターネット上のレシピを参考に試行錯誤を重ねます。しかし、掲載されていたレシピには工程の違いがあり、スパイスから作るコーラの火入れ工程など、小林氏は独自の方法を模索する必要がありました。

転機は、2017年に祖父が亡くなった後でした。祖父の工房「伊良葯工」を整理する中で、数々の古い道具やレシピが発見されます。祖父の仕事を知る中で、それらの資料がコーラ作りに役立つと考え、小林氏は改めてレシピ開発に没頭しました。スパイスの火入れや煮込み順序を工夫し、完成したシロップは周囲からの高い評価を得ます。

青山ファーマーズマーケットからのスタート

2018年7月、渋谷区で開催された青山ファーマーズマーケットに、キッチンカー「カワセミ号」で出店。祖父の工房の名前を引き継いだ屋号で、SNSでの告知を一切行わずに出店したにも関わらず、用意した150本のコーラは完売しました。

その後も会社員を続けながら週末にマーケットに出店する生活を続けましたが、2018年12月に退職。2019年1月には株式会社GRAND GIFTを設立し、2020年には祖父の工房を改装した1号店をオープンさせました。

成長と多様な展開

伊良コーラの評判は広がり、百貨店三越伊勢丹や髙島屋での取り扱いが始まり、髙島屋との取引をきっかけに瓶入りのRTD商品も製造開始。台湾や韓国への輸出も開始し、2023年には缶入り商品の販売も開始。コンビニエンスストアのナチュラル[[ローソン]]や、成城石井、北野エースなどで販売されています。

2021年にはクラウドファンディングで資金を調達し、キャットストリートに2号店をオープン（後に渋谷神宮前店に改名）。2023年には、渋谷神宮前店のリニューアルを行い、和漢方薬局をイメージした落ち着いた雰囲気へと生まれ変わりました。

商品とこだわり

主力商品は「THE DREAMY FLAVOR」ですが、「ミルコーラ」「THE JAPAN EDITION」など、様々なバリエーションがあります。RTD商品は友桝飲料に製造委託されています。

パッケージにもこだわりが見られ、スパイスの種類や小林氏のサインが記載されているなど、大正・昭和のレトロな雰囲気を演出。缶入りには「逆さまにして10秒」というユニークな飲み方が書かれています。

原料には、クローブ、カルダモン、ラベンダーなど15種類以上のスパイスや柑橘類を使用。コーラの実にもこだわり、ガーナから輸入しています。また、製造過程で出る「コーラかす」は、高円寺の銭湯「小杉湯」で薬湯として再利用されています。

ロゴマークのカワセミは、神田川沿いに多く生息する鳥で、「常識を壊す」という思いが込められています。

伊良コーラは、クラフトコーラの枠を超え、地域社会との連携や持続可能な取り組みなど、多様な側面を持つブランドとして、今後も進化を続けるでしょう。

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