伊豆山温泉

伊豆山温泉

伊豆山温泉は、静岡県熱海市に位置する温泉地です。伊豆山神社周辺に湧出し、熱海ビーチラインや国道135号沿いの海岸線に旅館やホテルが点在しています。

概要

伊豆山温泉は、熱海温泉と隣接しており、境界線が曖昧な部分もあります。一般的には、東海道本線の逢初山隧道の東京側坑口より東京方面が伊豆山温泉のエリアとされていますが、温泉台帳では熱海駅ホーム東端から東京方面も伊豆山温泉として分類されています。

温泉街の名物は、洞窟から源泉が湧き出る「走り湯」です。海岸線には観光ホテルが立ち並び、山側には企業や健康保険組合の保養所が開発されています。

共同浴場は1軒存在します。かつては2軒ありましたが、道路拡張工事により取り壊されました。

泉質

伊豆山温泉は、主に以下の泉質です。

硫酸塩・塩化物温泉 - 65%
塩化物・硫酸塩温泉 - 25%
硫酸塩温泉 - 5%
塩化物温泉 - 4%
含鉄-硫酸塩泉 - 1%

東海道本線より山側は硫酸塩泉で、硫酸カルシウムやマグネシウムを多く含み、外傷、腫れ物、水虫などの皮膚病に効果があると言われています。現在では塩分濃度が高くなり、胃腸病、神経痛、リウマチなどにも効果があるとされています。基本的には弱アルカリ泉ですが、一部の源泉ではpH3.0程度の酸性泉も存在します。

走り湯

「走り湯」は、養老年間（717年 - 724年）に役小角によって発見されたという伝承があります。古くは毎分900リットルもの湯が自噴し、源泉温度は約70度だったとされています。しかし、近年の乱掘により湧出量が減少し、現在は毎分180リットル程度になっています。そのため、保護のため走り湯からの汲み上げを休止し、約200m南の伊豆山78号（第二走り湯）から汲み上げた温泉水を洞窟内に流し、自噴していた頃の様子を再現しています。泉温は、近隣の伊豆大島の噴火によって上昇することがあるそうです。

歴史

伊豆山温泉の歴史は古く、役小角が伊豆大島に流刑に処された際、伊豆山から立ち上る五色の湯煙を発見し、庵を結んで修行したのが始まりとされています。この時、湯の上に「無垢霊湯、大悲心水、沐浴罪滅、六根清浄」という金色の文字が浮かび上がったと伝えられています。

源頼朝は、伊豆山神社で源氏再興を祈願し、鎌倉幕府を開きました。伊豆山神社が隆盛を極めるにつれて、伊豆山温泉も有名な温泉地としての地位を確立しました。

江戸時代には、徳川家康の湯治場として熱海が保護され、伊豆山温泉の繁栄は熱海温泉に譲りましたが、大名や歌人が伊豆山神社参拝の際に立ち寄り、走り湯に入浴することが多かったようです。

江戸城築城の際には、伊豆山から石が運ばれましたが、工事で怪我をした人々が走り湯に入浴したところ、その効能に驚いたという逸話も残っています。

明治時代以降も走り湯は人気を集めましたが、関東大震災の際に湧出が一時的に止まりました。しかし、地元の人々が源泉を突いたところ、湧出が再開したというエピソードがあります。

2021年の熱海市伊豆山土石流災害では、一部の旅館・ホテルが断水や温泉機器の故障などの影響を受け、臨時休業を余儀なくされました。

アクセス

JR熱海駅より東海バスで約5分

周辺情報

伊豆山神社
熱海温泉

伊豆山温泉は、歴史と自然に彩られた温泉地です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。

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