佐川美術館

佐川美術館：水に浮かぶ芸術の殿堂

滋賀県守山市に位置する佐川美術館は、1998年、佐川急便の創立40周年を記念して開館した登録博物館です。公益財団法人SGH文化スポーツ振興財団が運営を行い、日本を代表する画家や彫刻家の作品を数多く収蔵展示しています。

圧倒的なコレクション

美術館の収蔵品の中心は、日本画家・平山郁夫と彫刻家・佐藤忠良の作品です。平山郁夫の作品は、その代表作である『平和の祈り　サラエボ戦跡』をはじめ、『楼蘭』シリーズなど、スケール感と繊細さを兼ね備えた作品の数々が鑑賞できます。一方、佐藤忠良の作品は、人間の内面を深く捉えた表現力豊かな彫刻群が展示され、静かに観る人の心を揺さぶります。

これらの巨匠の作品に加え、2007年には十五代樂吉左衛門の樂焼作品を展示する「樂吉左衞門館」が新設され、さらに充実したコレクションを誇るようになりました。

そして、佐川美術館の最も特筆すべき収蔵品として、国宝に指定されている梵鐘があります。平安初期の天安2年（858年）に鋳造されたこの梵鐘は、比叡山西塔に由来し、その直線的なシルエットは日本の梵鐘の中でも非常に珍しい特徴です。

建築と景観

佐川美術館は、その建築デザインでも高く評価されています。竹中工務店が設計・施工を担当した本館と新館は、広大な敷地の大部分を占める水庭の上に浮かぶように建ち、切妻屋根が美しい景観を作り出しています。夏季には、夜間のライトアップにより、幻想的な雰囲気を醸し出します。水に映る建物の姿は、訪れる人々に特別な感動を与えます。

美術館の建物は、本館と新館の2棟から構成されています。本館には、平山郁夫展示室、佐藤忠良展示室、特別展示室、ヴィジュアルライブラリー、ミュージアムショップ、コーヒーショップ、資料展示室などの施設があり、充実した鑑賞環境を提供しています。新館である樂吉左衞門館は、茶室を備え、伝統と現代技術が融合した空間となっています。特に、楽吉左衞門館の屋根はチタン製であり、伝統的な様式と最先端技術の融合が見事に表現されています。

アクセスと周辺情報

佐川美術館へのアクセスは、JR東海道本線（琵琶湖線）守山駅から近江鉄道バス、またはJR湖西線堅田駅から江若交通バスでアクセスできます。美術館周辺には、SGホールディングスグループ健康保険組合守山陸上競技場や琵琶湖大橋などがあり、観光の拠点としても最適です。

受賞歴

佐川美術館は、その建築デザインや展示内容が高く評価され、数々の賞を受賞しています。グッドデザイン賞、JCDデザイン賞、中部建築賞、MARBLE ARCHITECTURAL AWARDS EAST ASIA、照明普及賞、国際照明デザイナーズ協会照明デザイン賞、HIROBA作品賞、日本建築学会賞、BCS賞など、数多くの賞を受賞しており、その建築的価値と芸術的価値の高さを証明しています。

美術品輸送へのこだわり

佐川急便は、自社所有の美術品専用輸送車両を用いて、美術館への美術品輸送を行っています。エアサスペンションを採用した特注仕様のトラックは、美術品の破損防止に最大限の配慮がなされています。これは、美術館の運営と深く関わっている佐川急便ならではの取り組みと言えるでしょう。

佐川美術館は、その美しい景観、貴重なコレクション、そして建築デザインの全てが調和した、まさに芸術の殿堂と言える存在です。滋賀県を訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください。

もう一度検索