保江邦夫

保江邦夫氏は、1951年岡山県生まれの日本の物理学者です。専門は数理物理学、量子力学、そして脳科学と多岐に渡ります。

その学究の道は、1970年の岡山朝日高校卒業後、東北大学理学部天文学科(1974年卒業)、京都大学大学院理学研究科博士前期課程(1976年修了)、そして名古屋大学大学院理学研究科博士後期課程(1978年修了)と続きます。博士課程では高林武彦教授に師事し、欧米の数理物理学専門誌に8編もの論文を発表、その成果により理学博士号を取得しました。

学術的な研鑽は、スイス連邦共和国ジュネーヴ大学理学部理論物理学科講師(1978-1982年)の経験を経て、さらに深まりました。帰国後は、ノートルダム清心女子大学大学院に教授として着任。2017年には名誉教授となりました。

彼の研究テーマは多様性に富み、量子場脳理論による脳の情報処理過程の解明、武術における脳機能の役割に関する理論と実験的研究、確率過程による量子力学の基礎づけなど、多角的なアプローチで探求を深めています。

保江氏の学術的業績は、数々の論文発表に表れています。1977年には修士論文が『Progress of Theoretical Physics』に掲載され、以降も『Schrödinger-Langevin equation』に関する論文や、確率量子化、確率変分学といった数理物理学の分野で重要な貢献を果たしてきました。1992年には、BEST PAPER AWARDを受賞するなど、その研究は国際的にも高く評価されています。

学術研究の傍ら、保江氏は45冊を超える著書を執筆しています。その内容は、数学、物理学、脳科学といった基礎科学から、金融工学、コンピュータプログラミング、さらには武道、宗教、UFO、宇宙人といった多様な分野に及びます。中でも、日本評論社から出版された『数理物理学方法序説シリーズ』全9巻は、その専門性の高さと網羅性で高く評価されています。また、講談社ブルーバックスからは、量子力学、金融市場予測、数学に関する一般向け啓蒙書も多数出版されています。

保江氏の著作は、専門的な内容を分かりやすく解説したものから、スピリチュアルな内容を含むものまで多岐に渡り、幅広い読者層に支持されています。

さらに、保江氏は少林寺拳法武道専門学校講師、冠光寺眞法・冠光寺流柔術の創始者・主宰、大東流合気武術宗範佐川幸義直門としても活動しており、武道家としての顔も持ち合わせています。自身の武道経験に基づいた著作も多く、物理学的な視点から武道の奥義を解き明かす試みは、多くの読者から注目を集めています。

2016年には、日本のこころを大切にする党から参議院議員選挙に出馬しましたが、落選しています。

保江邦夫氏の多彩な経歴と多様な活動は、科学と武道、そしてスピリチュアルな世界を繋ぐ独自の境地を開拓したと言えるでしょう。そのユニークな視点と幅広い知識は、多くの人々に刺激と新たな視点を提供し続けています。彼の今後の活動からも目が離せません。

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