信玄公祭り

信玄公祭りとは

信玄公祭りは、山梨県甲府市で毎年4月、武田信玄公の命日である4月12日（旧暦）の直前の金曜日から日曜日にかけて開催されるイベントです。この祭りの最大の見どころは、武田二十四将を模した時代行列「甲州軍団出陣」です。勇壮な武者行列は多くの観客を魅了し、甲府の春を彩る風物詩となっています。

この祭りは、地域住民による伝統的な祭礼とは異なり、山梨県や甲府市が主体となって観光PRを目的として行われています。信玄公は、戦国時代の武将であり、甲斐国（現在の山梨県）を治めた武田信玄（晴信）を指します。信玄公は、1573年4月12日（グレゴリオ暦では5月13日）に亡くなりました。甲府市には1919年に信玄公を祀る武田神社が創建され、地域住民の崇敬を集めています。戦後、観光振興の観点から、信玄公は郷土の象徴的な人物として位置づけられるようになりました。武田神社でも、信玄公の命日である4月12日に例大祭が執り行われています。

信玄公祭りは、例年15万人以上の観光客が訪れる大規模な祭りであり、「侍が最も多く集まる祭り」として、2012年にはギネス世界記録にも認定されました。

祭りの歴史

信玄公祭りの起源は、1947年に山梨県観光協会、甲府市観光協会、甲府商工会議所が共同で開催した桜祭りに遡ります。桜祭りは、花見の時期に合わせて甲府城舞鶴公園で開催されたイベントで、最終日には武田神社の例大祭に合わせて神輿の渡御が行われ、地元の相川地区の住民が甲冑姿で騎馬行列を行っていました。

近代に入ると、1895年に京都で始まった時代祭りをはじめ、歴史的観光資源に着目した都市祭礼が各地で見られるようになりました。戦後には、金沢百万石まつりや名古屋まつりなど、先行事例も登場しました。山梨県においても、中央自動車道や笹子トンネルの開通により、首都圏や中京圏からの観光客が増加し、観光業は県を代表する産業へと成長していました。1956年には、観光事業振興五ヵ年計画が策定され、自然景勝地や歴史的観光資源が模索される中で、武田信玄公は観光資源としても注目されるようになりました。

1966年には、第一回「甲府信玄祭り」が開催されました。この祭りは、各地の伝統的な祭礼を取り入れつつ、様々な企画を実施した総合イベントでした。その後、祭りの中心は騎馬行列へと移り、1969年に放送されたNHK大河ドラマ『天と地と』の影響を受けて観光客誘致を強化しました。翌年からは名称を「信玄公祭り」と改め、民間企業からの協賛も得て、2日間の日程となりました。

祭りの目玉である「武田軍団出陣絵巻」は、国道20号を封鎖し、有料観覧席やスポンサー席を設けて行われるようになり、芸能人の起用など、観光客を動員するための工夫が積極的に行われました。しかし、1976年にはオイルショックの影響による経済不況により中止となり、翌年度からは自治体を中心とするイベントとして再編されました。再編後、公道での有料観覧席に対する批判も起こり、2012年には、通行人の混雑を防ぐために駅前ロータリーが高幕で覆われるなどの措置も講じられました。

1988年に放送されたNHK大河ドラマ『武田信玄』の影響により、再び活気を取り戻し、信玄公役への有名俳優の起用や、女性中心の時代行列、出陣兵士を鼓舞する陣屋の設置など、様々な試みが行われ、現在に至っています。2007年の大河ドラマ『風林火山』以降は、山本勘助役にも有名俳優が起用されています。

自治体中心となってからは毎年開催されていましたが、2011年には東日本大震災の影響で中止となりました。しかし、翌2012年には通常通り開催されています。

また、信玄公祭り開催期間から信玄公の命日にかけて、甲府駅南口の武田信玄公銅像前に線香立てと賽銭箱が設置され、線香を供えて煙を浴びることで、信玄公の知恵と勇気を授かるとされています。

2020年には、新型コロナウイルスの感染拡大により、4月開催予定の第49回信玄公祭りが中止となりましたが、その後、延期や開催時期の変更を経て、2022年10月には開催されました。2023年には、第50回信玄公祭りが開催され、冨永愛さんが信玄公役を務めました。

歴代の信玄公

1995年以降、有名人が信玄公役を演じるようになりました。2006年からは、山本勘助役にも有名人が起用されています。

2011年と2020年から2021年にかけては、東日本大震災と新型コロナウイルスの影響により祭りが中止となりました。

イベントの様子

信玄公祭りでは、「甲州軍団出陣」のほか、様々なイベントが開催されます。

甲州軍団終結・出陣式・出陣：武田軍の勇壮な出陣の様子を再現します。
甲州軍団出陣 本陣隊・武田時代隊：武田家の家臣団や武者隊が時代絵巻を繰り広げます。
その他イベント：祭り期間中は、様々なステージイベントや屋台などが楽しめます。

関連イベント

川中島合戦戦国絵巻：信玄公祭りの翌週の日曜日に、笛吹市で開催されるイベントです。川中島の戦いをテーマとしており、信玄公祭りと合わせて楽しむことができます。

まとめ

信玄公祭りは、武田信玄公を偲び、歴史と文化に触れることができる魅力的な祭りです。豪華絢爛な武者行列は一見の価値があり、多くの観光客を魅了しています。ぜひ一度、甲府を訪れて、信玄公祭りの迫力を体感してください。

もう一度検索