俵屋宗達

俵屋 宗達について

俵屋宗達（たわらや そうたつ）は、江戸時代初期に活躍した日本の画家であり、その名は特に琳派の創始者の一人として広く知られている。宗達は、生年や没年が明確には分かっておらず、彼の生涯には多くの謎が存在している。しかし、当時の文化人や絵師との交流を通じて、彼の影響力は確かなものであった。

生涯と業績

俵屋宗達の通称は野々村宗達であり、彼は「伊年」または「対青軒」という号を持つ。彼の誕生については1570年代前後で生まれたと推測されている。宗達は京都にて「俵屋」と呼ばれる絵画工房を運営し、扇絵や屏風絵、御用の絵など多岐にわたる作品を手掛けた。特に、同時期の仮名草子『竹斎』には、俵屋の扇絵が人気であったことが記されている。

宗達はただの扇絵の職人ではなく、彼の才能は多方面にわたる。慶長7年（1602年）、福島正則の命により行われた平家納経の修復に際し、宗達は6図の作画を担ったことが記録として残っている。また、元和2年（1616年）には後水尾天皇から作画の依頼を受け、後に屏風制作も依頼されるなど、皇室との関係も深かった。

当時の名士である烏丸光広や本阿弥光悦などと親交があり、彼らの書巻の下絵を描いたり、出版にも関与したという。特に寛永7年（1630年）には法橋の位を与えられており、その名声の高さが伺える。宗達の死後、その工房は俵屋宗雪に引き継がれ、宗雪は1642年には法橋に任じられることから、宗達はその少し前に亡くなったと考えられている。

評価と作風

宗達は、江戸時代の画壇において尾形光琳の師でもあり、光悦と並ぶ重要な人物として位置づけられている。しかし、江戸時代後期から明治にかけては、光琳の画が高く評価され、宗達の作風は多少軽視されることもあった。結果として、彼の作品は当時海外へも流出したが、それを問題視する声は聞かれなかった。

ところが、大正2年（1913年）に「俵屋宗達記念会」が開催されると、若い画家たちに彼の影響が強く及び、画業は再評価され始めた。その結果、宗達の代表的な作品である「風神雷神図」などいくつかが国宝に指定されるに至る。宗達の作品には装飾的で大きな画面を用いたものもあれば、水墨画も多く、「蓮池水禽図」では生乾きの墨を使ったにじみの技法が見られ、彼方此方に偶然の美を表現した。

代表作

宗達の代表作には、国宝として登録されている「風神雷神図」と「蓮池水禽図」がある。これらの作品は、その装飾的な美しさや精緻な技術が高く評価されている。特に「蓮池水禽図」は、白蓮の咲く池面でかいつぶりが遊ぶ情景が描かれており、柔らかな質感を表現することで詩情豊かな作品に仕上がっている。

また「源氏物語関屋及び澪標図」という作品も評価されており、物語の一場面を描いた屏風で、近年の研究により、寛永8年に宗達が描いたことが明らかになった。

まとめ

俵屋宗達は、日本の絵画史において重要な位置を占める画家であり、その生涯は謎に包まれた部分が多いが、彼の作品は時代を超えて高く評価され続けている。彼の作品は、琳派の根源とされ、今なお多くの人々に愛されている。

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