公益資本主義

公益資本主義とは

公益資本主義（こうえきしほんしゅぎ）は、欧米型の株主資本主義や中国型の国家資本主義とは異なり、社会全体の利益、つまり公益を追求する新たな資本主義の概念である。この概念は、原丈人が著書『21世紀の国富論』で提唱したもので、特に企業がまず株主の利益を考えるのではなく、社会のために機能することを目的としている。この考え方は、企業活動を通じて社会全体の幸福を推進し、持続可能な経済発展を目指すものである。

特徴と目的

公益資本主義は、単に利益を追求するものではなく、社会的な便益を考慮に入れた経済システムの構築を目指している。具体的には、以下のような要素が挙げられる。

1. 新産業の創造: 世界の成長を促すための新しい産業を生み出す枠組みを構築する。
2. 資金供給の仕組み: リスクを取って新しい産業に挑戦する企業に対して、十分な資金が流れるようなシステムを整える。
3. 途上国への支援: 民間資源を用いて途上国の支援を行い、全体の繁栄を図る。

株主資本主義との違い

従来の株主資本主義では、企業は株主の利益を最優先に考えるが、公益資本主義では企業は社会全体の利益を重視する。原丈人は、この新たな考え方を具体的に実現するための提案をいくつか行っている。

• - 社中分配の義務化: 企業が使用しない余剰資本は、配当や自社株買いだけでなく、従業員や顧客といった公益にも分配されるべきであり、その一部（10%）を従業員に還元することを義務化すべきだとされる。
• - 社外取締役の役割変更: 経営陣が公益のために行動しているかどうかを監視する役割を持つ社外取締役の設置が勧められている。
• - 経営者のストックオプション廃止: 経営陣が自社株を持つことが、株主利益優先の経営に繋がるため、この制度を廃止するべきとされる。
• - 股票の長期保有促進: 企業の決算報告を年1回にし、短期的な売買を抑制することで中長期的な視点を強調する。

公益資本主義推進協議会と議員連盟

公益資本主義を広めるため、2014年1月に一般社団法人公益資本主義推進協議会が設立された。これは原丈人を最高顧問として、教育問題に取り組むシンポジウムやフォーラムも開催している。また、2018年には公益資本主義を推進する議員連盟が設立され、政治的な場でもこの理念を広める努力が続けられている。

結論

公益資本主義は、経済活動と社会貢献を両立させるべく、新たなルールと枠組みを提唱している。企業が自己利益だけでなく、社会全体の利益を考慮し、持続可能な発展を促進することが期待されている。この新しい[[資本主義]]のモデルにより、より良い社会の構築が可能になることを目指している。

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