公設民営大学

公設民営大学について

公設民営大学とは、国や地方公共団体が設立し、その設立を受けて民間の学校法人が大学の運営を行う形式の私立大学を指します。この新たな教育形態は、地域の活性化を狙って創設されることが多いですが、必ずしも法律に定義された大学分類には含まれません。

公設民営大学の概要

地方公共団体は地域振興の観点から大学の誘致に注力し、その準備として必要な土地や資金といったリソースを学校法人に提供して開校を実現します。最初の公設民営大学は日本社会事業大学であり、これは戦後、GHQ（連合国最高司令官総司令部）及び厚生省の手によって設立されました。その後も、1970年代の経済成長期には産業医科大学が設立され、現在も学費は国立大学に準じた価格に設定されています。ただし、一部の公設民営大学は、特に地方の小規模大学においては経営の難しさが指摘されており、文部科学省からの注意も受けています。

経営状況と現状の課題

経営が厳しい公設民営大学として、萩国際大学が民事再生法を適用したケースや、愛知新城大谷大学が閉校に追い込まれた事例が挙げられます。これに対し、静岡文化芸術大学は地域の短大を再編する形で設立され、比較的順調に運営されていますが、他の公設民営大学の多くは、定員不足や経営上の課題に直面しています。

公私協力型大学の公立化

公設民営大学の多くは、設立からの経営改善を求めて公立化を模索する傾向にあります。高知工科大学や名桜大学などは自治体主導の公設民営で開設されましたが、静岡文化芸術大学など一部は独自の経営方式を採っており、公立化することで受験生の募集に成功しています。実際、長野大学や千歳科学技術大学は公立化を経て志願者数が急増し、効果を上げています。

公設民営大学の一覧

公設民営大学として認知されている大学には、自治医科大学や日本社会事業大学、沖縄科学技術大学院大学などがあります。また、教育形態としては、放送大学や育英館大学、新潟産業大学などの大学が公私協力の下に設置されています。特に新潟産業大学は、地域との連携を強化する一環として公立法人への移行を模索しています。

まとめ

公設民営大学は、地域の教育ニーズを満たすための重要な役割を果たしています。近年の経済的困難や学生数の減少を受けて、大学の運営形態を見直す動きが進んでおり、新たな公立大学が次々と設立されています。今後の動向が注目される分野です。

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