六角川

六角川（ろっかくがわ）

概要

六角川は佐賀県の中部を流れる一級河川で、広大な六角川水系の本流として位置づけられています。全長は約47kmあり、特にその下流域は勾配が緩やかで、蛇行した流路が特徴的です。六角川は武雄市西部の山地を起点に、白石平野を経由して有明海に流れ込んでいます。

地理的特徴

この川の流れにおいては、特に中流域から下流にかけて蛇行が顕著であり、最下流域では牛津川と合流して有明海に注いでいます。中・下流域は海面に近い低平地が広がっており、勾配は1/1,500から1/45,000という非常に緩やかなものです。さらに、下流の白石町周辺は三角州の地域であり、河道が周辺の地面よりも低くなるため、湛水のリスクがあります。有明海の流れによって海水が遡上することがあり、その影響で洪水が発生しやすいと言われています。このことから、学術資料の中には「河川というよりは海湾の延長」と表現されることもあります。

生態系と産業

下流域には豊かな河口干潟が存在し、干潟体験場や生き物観察場が小城市の芦刈町に設けられています。河口の水利用に関しては、昔から潮の満ち引きを利用した水運が広く行われており、特に昭和20年代後半の石炭産業の最盛期には、運炭船での賑わいがありました。今では有明海での海苔養殖が盛んです。

名称の由来

六角川の名前は、江戸時代に長崎街道とともに発展した宿場町の地名に由来していると考えられており、古くは「六角江」や「高橋江」と称されていました。特に草野町付近の神社周辺が中心地区とされ、多くの宿場町が繁盛しました。

水害対策と治水の歴史

過去においては六角川の洪水による浸水が問題となり、1953年や1990年には深刻な氾濫が発生しました。これに対処するため、県は堤防や川の浚渫を行い、1966年に一級河川として指定しました。繰り返される水害を受け、近年も積極的な水害対策が進められていますが、内水停滞による浸水が依然として大きな課題です。

水利用の変遷

六角川周辺では水田の開発が行われてきましたが、感潮区間の塩水による影響で河川からの取水は困難をきたしています。そのため、ため池や地下水からの取水が一般的でした。武雄市橘町では江戸初期に水利用の工夫が行われ、現在もその技術が受け継がれています。最近では嘉瀬川ダムの建設が進められ、ダムを水源とした安定した水供給が図られるようになりました。

課題と今後の展望

六角川の流域では水害とともに、地盤沈下の問題も深刻です。地下水の過剰取水が原因となっており、地域全体での水管理の見直しが求められています。河道の維持管理や排水機場の老朽化も課題であり、これらに対する予算や技術の確保が急務です。同時に、地域の理解を得て新たな水利用の道を模索することも必要でしょう。

六角川はその特異な地理的条件から、多くの変化と課題を抱えていますが、地域住民や行政が一丸となり、持続可能な水管理と治水策に取り組む姿勢が今後の鍵となります。

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