共同作戦

トムとジェリー：共同作戦

1942年4月18日に公開された『トムとジェリー』シリーズの一作品、『共同作戦』（原題：Dog Trouble）は、後にスパイクとしてお馴染みとなるブルドッグが初登場する記念すべき作品です。ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラを始めとする、数々の才能あるスタッフによって生み出された本作は、シリーズの中でも特に人気のある短編の一つとなっています。

作品内容：予測不能な展開と笑いの連鎖

物語はいつものように、トムがジェリーを追いかけるシーンから始まります。トムは巧妙なネズミ捕りを仕掛けますが、逆にジェリーにいたずらされ、尻尾を挟まれてしまいます。追いかけっこは続きますが、ジェリーは偶然にも、獰猛なブルドッグが昼寝をしている場所へ逃げ込みます。ジェリーは間一髪でブルドッグと衝突を免れますが、トムはブルドッグと正面衝突。激しい怒りに燃えるブルドッグはトムを追いかけ始め、今度はジェリーも巻き込まれるという展開に。

窮地に陥ったトムとジェリーでしたが、共通の敵であるブルドッグを撃退するため、まさかの共同作戦を決行します。トムがブルドッグの注意を惹きつけ、その隙にジェリーが部屋中に糸を張り巡らせ、ワイヤートラップを仕掛けるという連携プレー。ジェリーがブルドッグを挑発すると、ブルドッグは糸だらけの部屋に突進。部屋はめちゃくちゃになり、そこへやってきたお手伝いさんは、大惨状を目の当たりにして激怒。糸に絡まったブルドッグを家から追い出してしまいます。

作戦成功に喜ぶトムとジェリーでしたが、その直後、トムはまたしてもネズミ捕りに尻尾を挟まれてしまい、ジェリーを睨みつけます。いつもの追いかけっこが再開されるという、予測不能なオチで幕を閉じます。

スタッフと制作：ハリウッド黄金時代の技術と才能

本作は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラという、トムとジェリーシリーズを代表する二人の監督が中心となって制作されました。他にも、多くのアニメーターや音楽家たちが参加し、彼らの卓越した才能とハリウッド黄金時代の高い技術が、この作品に息づいています。テクニカラーによる鮮やかな色彩と、ウェスタン・エレクトリックによる高品質な録音も、作品の魅力を高めています。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオによる制作、そしてメトロ・ゴールドウィン・メイヤーとロウズ・シアターによる配給体制は、当時のハリウッドにおける強力な制作・配給システムを示しています。

再公開と修正：時代の変化と作品への配慮

1952年の再公開に際しては、レオ・ザ・ライオンの登場やオープニング、エンディングカードが刷新されました。特に、1965年のCBS放送時には、人種差別的表現とみなされる可能性のあるお手伝いさんの肌の色が修正されたり、犬がグラスを割るシーンの編集速度が変更されたりといった、時代の変化を反映した修正が加えられています。これは、作品をより多くの人に受け入れられるようにするための配慮と言えるでしょう。劇場公開版には、第二次世界大戦中の戦時国債購入を促すメッセージがエンドカードに含まれていたことも興味深い点です。

登場キャラクター：個性の光る面々

本作では、トムとジェリーに加え、初登場となるブルドッグ、そしてお手伝いさんが主要なキャラクターとして登場します。特にブルドッグは、トムとジェリー双方を敵視する、シリーズの中でも屈指の強敵として描かれています。一方、お手伝いさんは、トムとジェリーの作戦の結果を目の当たりにし、ブルドッグを追い出すという重要な役割を担っています。それぞれのキャラクターが持つ個性と、彼らが織りなす物語は、本作の魅力の一つとなっています。

まとめ：時代を超えて愛される傑作

『共同作戦』は、トムとジェリーのいたずらと追いかけっこ、そして予測不能な展開が魅力の短編アニメーションです。単純な追いかけっこだけでなく、犬との共同作戦、そして時代を反映した修正といった様々な要素が盛り込まれており、何度見ても楽しめる作品と言えるでしょう。 その人気の高さは、現在でもテレビやDVDで広く視聴されていることからも明らかです。この作品は、アニメーション史における重要な作品の一つであり、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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