内輪差

内輪差とは

内輪差（ないりんさ）とは、四輪以上の車両がカーブを曲がる際に発生する現象です。この現象は、回転中心側の前輪と後輪が描く円弧の半径の違いによって生じます。一般的には、2つの前輪が舵角を与えられてカーブを進行する際に、前輪の描く円弧と比較して後輪の描く円弧が小さくなります。具体的には、後内輪が前内輪よりも内側を通るため、これが内輪差として認識されています。特異なケースでは、後輪が操舵を行う特殊な車両では、前輪よりも後輪が外側を通ることになり、同様の名称で呼ばれることがあります。その逆側の外輪については、外輪差（がいりんさ）が存在し、内輪差よりも小さいことが一般的です。

内輪差の原因と影響

内輪差は、車両の回転半径を小さくするほど相対的に大きくなります。また、ホイールベースが長くなるとその影響も大きくなります。ドライバーは前輪に近い位置で操舵を行なうため、特に運転中は前輪の位置を基準としがちですが、実際には後輪が内側を通るため、思わぬ事故が起こることがあります。これはカーブの内側に排水溝があったり、他の物体が存在したりした場合、後輪がそれに接触しやすくなります。

特に交差点での左折や右折時に、歩道の近くにいる歩行者や自転車と接触する巻き込み事故が多発しています。この事故は、特にトレーラーや連節バスのような内輪差が大きい車両で特に注意が必要です。

内輪差による事故への対策

内輪差による事故を回避するための対策がいくつか提案されています。ドライバーが注意を払うことで、そのリスクを軽減できますが、他の手段も有効です。

• - ステアリング操作のタイミング：交差点に差し掛かった際、前輪が通過した後に操舵を行うことで後輪の接触を回避できます。
• - サイドミラーの活用：後方の視認性を高め、後輪との接触を防ぐための重要な手段です。
• - 方向指示器の使用：周囲への注意を促すため、転回時に灯火の点滅を利用することができます。また、音声による通知も効果的です。
• - 安全窓の導入：トラックの助手席側に設けられた安全窓により、左折時の視認性が向上します。
• - 前扉のガラス拡大化：1980年代以降のバスでは、前扉がガラス張りになり、視界が確保されています。
• - 四輪操舵の採用：内輪差を低減する技術ですが、高コストと重さの問題から普及は限られています。
• - 歩行者教育：巻き込み事故を減少させるための意識向上が欠かせません。たとえば、歩道の端に立たないことや車両の近くに溜まらないことが助けになります。

誤った対策とそのリスク

一部のドライバーは、内輪差への対策として「首振り」と呼ばれる方法を用いていますが、これは非常に危険です。この方法は、交差点に入る前に反対方向にステアリングを動かしてしまい、結果として巻き込み事故を引き起こす可能性があります。運転者は、道路交通法に従って左側に寄せつつ右左折する必要があり、このような違法な運転は避けるべきです。

適切な対策を講じることによって、内輪差による事故のリスクを低減させることができます。さらに、歩行者も自らの安全を守るために意識的な行動が求められます。

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