別府市美術館

別府市美術館：近代美術と地域文化の交点

別府市美術館は、大分県別府市に位置する公立美術館です。明治から昭和初期にかけて活躍した日本を代表する画家たちの作品や、大分県ゆかりの作家たちの作品を数多く収蔵し、常設展示しています。近代日本画壇の巨匠たちの作品を通して、日本の美術史を深く理解することができます。

多彩なコレクションと充実の施設

美術館のコレクションは、安井曽太郎、梅原龍三郎、福田平八郎、小磯良平、朝倉文夫といった近代日本画壇を代表する巨匠たちの作品が中心です。彼らの油彩画や彫刻作品は、日本の近代美術史における重要な位置を占めており、美術館の大きな魅力となっています。

さらに、大分県出身の画家、冨永一郎、宇治山哲平、片多徳郎、江藤哲らの作品も常設展示されています。これら地元作家の作品は、地域に根ざした美術表現を理解する上で貴重な資料であり、地元住民にとって誇りとなるコレクションです。

美術館内には、企画展示室や市民向けのギャラリーも備えられています。企画展示室では、時代やテーマを絞った展覧会が定期的に開催され、来場者に多様な美術体験を提供しています。市民ギャラリーは、地域住民の美術作品発表の場としても利用され、地域文化の活性化にも貢献しています。

ロビーには、美術館設立に貢献した実業家、佐藤慶太郎の胸像が設置され、別府の風景を描いた絵画も展示されています。これらの展示物は、美術館の歴史と、別府という土地とのつながりを示す重要な要素となっています。

歴史と変遷：新たな美術館への歩み

別府市美術館は、実業家佐藤慶太郎氏の多大な寄付によって1950年（昭和25年）に設立されました。九州で最初の公立美術館として、その歴史は長く、地域文化の発展に大きく貢献してきました。

当初は別の場所にありましたが、1984年（昭和59年）には上人ヶ浜町に、かつてホテルだった建物を改修した施設に移転・開館しました。しかし、老朽化や2016年（平成28年）の熊本地震による被害により、2016年7月1日から休館を余儀なくされました。休館中は、別府市立野口小学校を代替施設として活用し、企画展などを開催し、美術へのアクセスを維持しようと努力が続けられました。

その後、大分県から野口原の旧大分県立社会教育総合センターの建物を払い下げを受け、2017年（平成29年）10月12日に現在の場所に再オープンしました。新美術館は鉄筋コンクリート造りの2階建てで、旧美術館の2倍以上の広さを誇り、より充実した展示空間を提供できるようになりました。

2019年には、別府市立図書館との連携を検討しながら、現在の施設を継続使用することが決定されました。将来的には一体整備も視野に入れていますが、まずは現在の美術館を拠点として地域文化の振興に貢献していく方針のようです。

なお、2022年10月1日から2024年2月末日までの間、空調設備の改修工事のため、休館することになっています。

アクセス

自動車: 大分自動車道別府ICから約10分
電車: JR日豊本線別府駅から徒歩約25分
* バス: 亀の井バス、別府駅西口・東口から乗車可能。ニューライフプラザ・ビーコンプラザ前停留所下車。具体的な路線は別府市美術館の公式ウェブサイトをご確認ください。

旧美術館跡地

旧美術館があった上人ヶ浜町の跡地は、民間事業者による公園整備が行われています。隣接していた市営の別府海浜砂湯は2023年3月31日に廃止され、新たな砂湯施設や宿泊施設が整備される予定です。

別府市美術館は、これからも地域住民や観光客にとって貴重な文化拠点として、その役割を果たしていくことでしょう。

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