刺股

刺股（さすまた）についての詳細

刺股（さすまた）とは、相手の動きを制限するための武具や捕具を指します。別名では「指叉」や「刺又」とも呼ばれており、一般的にひらがなやカタカナでも表記されます。また、叉護杖（さごじょう）という称呼も存在しています。

この道具は、2から3メートルの長柄の先端がU字型に分かれており、相手の首や腕を地面や壁に押しつけることで捕らえる仕組みです。さらに、両端の折り返し部分を利用して、対象者の衣服などに絡めて引き倒すことも可能です。江戸時代に開発され、犯罪者の抑制や捕獲を目的として捕物用に使用されてきました。

歴史的背景

江戸時代には、刺股は犯罪者を捕まえるための三道具の一つとして位置づけられ、他の道具には突棒や袖絡がありました。これらの道具は、日本古来の捕縛技術の中で進化してきたものです。歴史書『和漢三才図会』にも、関人（せきもり）や門番が使用する道具として記されています。

刺股は町火消によっても家屋の破壊器具として利用され、火災時には延焼を防ぐために迅速に家屋を引き倒す手段として用いられました。現在の消防署の地図記号には、この刺股の形状がデザインされています。

捕物用の刺股は、相手が手を伸ばせる範囲に鋭利な刺があり、対象者が当たった際に掴むことを防ぎます。集団で使用し、金具の部分で叩いたり押さえ込むことで、相手の行動を制止して捕縛することができます。近年では事故を避けるため、棘が無いタイプや伸縮式のモデルも登場しています。

防犯器具としての変化

現代では刺股の材質が木製からアルミや強化プラスチック製へと変わり、軽量化と取り扱いやすさが実現されています。特に、2002年以降の附属池田小事件や他の学校侵入事件を受けて、多くの教育機関が防犯装備として導入を進めています。また、金融機関でも強盗対策として取り入れる動きが見られます。

刺股単独では十分に制止力に欠けることがあるため、対象者との距離を保持しつつ、催涙スプレーなどを使って行動を制限する方法が一般的です。刺股自体で対象者を抑え込むには技術が必要であり、相手の腕力次第では逆襲の危険が伴います。

そのため、効果を高めるために「高性能さすまた」が開発され、対象者が掴んでも滑ってしまうコイルスプリング方式が導入されています。これによって、体力や技術に自信のない方でも相手を制止することが可能になっています。

現在の刺股は、首や手足を押さえ込むよりも胴体を狙う設計に変わっており、複数人で使用して対象者を押さえ込む方法が推奨されています。これにより、より安全かつ効果的に使用することができます。

結論

刺股はその歴史的背景と共に進化を続けており、現在では防犯ツールとしての役割が重要な位置を占めています。それにより、長い歴史を持つこの道具は現代の安全対策に貢献しているのです。

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