和漢三才図会

『和漢三才図会』の概要

『和漢三才図会』は、江戸時代中期に医師の寺島良安によって編纂された日本の百科事典で、形式や内容において非常に革新的な作品です。この書物は105巻から成り、合計81冊におよび、多岐にわたる知識を収めています。

編纂の動機

編纂者である寺島良安は、彼の師である和気仲安から「医者たる者は宇宙百般の事を明らむ必要あり」と教えられ、この教えを元に様々な分野の知識を体系的に集めることを決意しました。それに影響を受けたのが明の王圻による『三才図会』であり、これを範として日本における知識の集大成を目指していました。

構成と内容

『和漢三才図会』は、天（1-6巻）、人（7-54巻）、地（55-105巻）の三つのカテゴリーに分かれています。各巻では、和漢の事象について詳しく考証が行われ、さらに挿絵や古地図も添えられています。この図版の存在は、知識を視覚的に理解する助けともなり、さらには時代の文化や人々の生活をも映し出しています。各項目は、漢名と和名が併記されており、本文は主に漢文で記されています。

大坂の杏林堂が版元として木版印刷により出版したこの書物は、特にその豊かな図版と多角的な視点からの情報が評価されています。各巻には、実用的な情報だけではなく、空想上の事柄や荒唐無稽な記述も含まれており、当時の人々がどのような考え方を持っていたかを垣間見ることができます。

文化的意義

『和漢三才図会』は、博物学や自然科学に対する関心が高まる中、貴重な文化遺産として位置付けられています。南方熊楠という著名な博物学者は、この作品の全巻を筆写したとも知られています。これは彼が『和漢三才図会』に寄せた高い評価を示すものです。

現代の形

この百科事典の現代語訳や復刻版も出版されており、1985年から1987年には平凡社東洋文庫から全18巻が出版されました。また、東京美術からは1970年に原本が復刻され、以降再版が行われています。これにより、現代の読者でもその内容を手軽に知ることができるようになっています。

参考文献と関連項目

『和漢三才図会』に関する資料として、国立国会図書館や九州大学総合研究博物館のデジタルアーカイブにも多くの情報が収載されています。また、本書は「三才図会」や「博物学」に関連する他の文献とも深く結びついており、これらを通じて当時の学問や文化についての理解を深めることができます。このように、『和漢三才図会』は単なる図鑑としての役割を越え、江戸時代の知識と文化の集大成として、今なお多くの人々に愛され続けています。

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