前沢駅

前沢駅

岩手県奥州市前沢に所在する前沢駅は、東日本旅客鉄道（JR東日本）が運営する東北本線の鉄道駅です。かつて東北新幹線の開業以前には、主要な急行列車である「いわて」や「もりおか」といった列車も停車しており、地域の交通拠点としての役割を担っていました。

駅の構造と設備

当駅は地上に設けられており、列車が発着するためのホームは合計2面3線を有しています。具体的には、単式ホームが1面と島式ホームが1面で構成されています。これらのホーム構造は、通常の普通列車の停車に加え、貨物列車を先行させたり、近隣の平泉方面への臨時列車が折り返し運転を行ったりするなど、柔軟な運用に対応できる設計となっています。

2005年12月10日には、駅の利便性向上と地域活性化を目指して、新しい橋上駅舎がそれまでの駅舎の南側に完成しました。これと同時に、鉄道線路によって隔てられていた駅の東西を結ぶ自由通路「ぽっぽ」も整備されました。新しい駅舎と「ぽっぽ」には、それぞれ2基ずつ、合計4基のエレベーターが設置され、駅利用におけるバリアフリー化が図られています。この自由通路ができたことにより、特に駅東側にある大型商業施設「イオン前沢店」へのアクセスが大幅に改善され、地域住民や駅利用者の移動時間の短縮に大きく貢献しています。旧駅舎があった場所は、現在公園として整備され、人々の憩いの場となっています。

駅の業務体制については、以前は駅員が配置されていましたが、2004年4月1日をもって一ノ関駅所属の前沢在勤駅員配置が廃止され、業務委託化されました。その後、更なる合理化が進み、2014年9月30日にはみどりの窓口の営業が終了しました。近年のキャッシュレス化やインターネット予約の普及に対応するため、2024年10月1日からはJR東日本のチケットレス乗車サービスである「えきねっとQチケ」が利用可能となる予定です。そして、2025年3月14日には出札窓口の営業が終了し、自動券売機も撤去されることが決定しています。これにより、翌日の2025年3月15日からは終日無人駅となる計画が発表されており、一ノ関駅による管理体制のもと、駅の運営が続けられることになります。

利用状況

JR東日本が公表している情報によると、2023年度（令和5年度）における前沢駅の1日平均乗車人員は489人でした。これは、地域の規模に応じた利用状況を示しています。

駅周辺

前沢駅は、かつての前沢町において中心的な地域に位置しています。周辺には、行政施設として奥州市役所の前沢総合支所があります。また、歴史的な場所であるお物見公園や、前述のイオン前沢店などの商業施設も点在しています。その他にも、北日本銀行の前沢支店や前沢郵便局など、生活に必要な施設が揃っています。

バス路線

駅周辺からは複数のバス路線が運行されており、地域の交通ネットワークを形成しています。前沢駅東口からは、奥州市衣川バスの「星空号」が平日限定で運行されており、衣里線としてイオン前沢方面や衣川古戸方面への便があります。また、前沢駅口や三日町のバス停からは、岩手県交通の路線バスが利用可能です。岩手県交通のバスは、美希病院線として美希病院へ向かう便（月曜日運休）や、水沢前沢線としてイオン前沢や水沢駅前方面への便が運行されており、駅を起点とした広範囲への移動を支えています。

隣接する駅

JR東日本東北本線における当駅の隣の駅は、仙台・一ノ関方面に向かう上り方面が平泉駅、盛岡方面に向かう下り方面が陸中折居駅となっています。

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