加藤博

加藤 博（かとう ひろし）のプロフィール

加藤博は1948年に香川県で生まれ、その人生を通じて中東の歴史と文化の探求に努めてきた学者です。一橋大学商学部に進学し、教授の深沢宏に師事して1974年に卒業、さらに大学院経済学研究科に進学しました。1976年に修士課程を修了し、博士課程に在籍中の1977年から1979年にはエジプトのカイロ大学に留学し、現地の文化や社会に直接触れる貴重な経験を得ました。1980年には一橋大学大学院経済学研究科を満期退学して、東京大学東洋文化研究所で助手としての職を獲得しました。

彼は1982年から1984年に再びカイロ大学に留学し、1983年には学位論文『エジプトにおける私的土地所有権の確立』を一橋大学に提出し、経済学博士号を取得しました。その後、東洋大学で専任講師、助教授としてのキャリアを経て、母校の一橋大学に戻り、経済学部で助教授、そして1991年に教授に昇格しました。さらに、1993年には日本学術振興会カイロ研究連絡センターの派遣員として1年間カイロで研究を行い、1998年からは経済学研究科の教授を務めました。

加藤博士の学問の道は多岐にわたり、1997年から2002年まで国立民族学博物館で地域研究企画交流センター教授を兼任していました。彼は2012年に一橋大学を定年退任し、名誉教授としての地位を得ましたが、その後も特任教授として活動し続けました。また、2015年から2016年の間には東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所でフェローとしての役割も果たしました。加藤は学界においても重要な貢献をしており、1994年から1996年には日本オリエント学会の理事、1997年から2000年まで歴史学研究会の編集長、2000年から2003年にかけて日本中東学会の会長を務めました。

彼の業績は数多くの受賞歴にも表れています。1980年には流沙海西奨学会賞を受賞し、1985年には日本オリエント学会奨励賞を、1993年にはアジア経済研究所発展途上国研究奨励賞を授与されました。特に2012年には内閣府によって「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」の一人に選出され、国際的な活動が評価されました。

また、著書、共編著、翻訳を通じて、彼の研究成果は広く知られています。主な著作には『私的土地所有権とエジプト』や『文明としてのイスラム 多元的社会叙述の試み』、さらには『イスラム経済論 イスラムの経済倫理』などが含まれ、新たな視点を提供しています。

加藤博の研究へ向ける情熱や彼のアプローチは、国際的な学術界でも重要な存在となっており、多くの学生や若手研究者に影響を与え続けています。彼の研究は中東の社会と文化に対する理解を深め、学術の枠を超えて人々に知識を提供する役割を果たしています。

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