労働者協同組合

労働者協同組合とは

労働者協同組合（ろうどうしゃきょうどうくみあい）とは、労働者が主体となり出資し、運営や管理を行う協同組合の一形態です。この仕組みは、特に労働者自らが職場を残し、事業を継続させるために採用されることがあります。地域社会の活性化を担う存在としても注目されています。

定義と基本的特徴

労働者協同組合は多くの定義が存在し、国際協同組合同盟（ICA）が提供する「労働者協同組合に関する世界宣言」がその一例です。その中で、以下の基本的な特徴が示されています。

1. 持続可能な仕事と経済成長: 労働者の生活の質を向上させ、人間の労働の尊厳を守りながら、地域発展を促進します。
2. 自由なメンバーシップ: 組合員として参加することは自由であり、組合員の貢献を重視します。
3. 労働の主体性: 職務は組合員が担うことを原則とし、労働者にとっての自律性が確保されます。
4. 内部規則の民主的承認: 組合内の規則は、組合員によって採択されるべきです。
5. 自治と独立性: 国家や外部の影響から独立した運営が求められ、労働者の権利を保障します。

これらの原則は、ロッチデール原則にも基づいています。これは協同組合運営の根幹にある大切な考え方です。

日本における労働者協同組合

日本では、労働者協同組合は当初、企業組合や特定非営利活動法人（NPO法人）として存在していましたが、これらの形態は設立手続きが煩雑でした。企業組合は都道府県知事の許可が必要で、NPO法人には事業分野の制限がありました。このような中、法律的な位置づけが不確実な状況も続きました。

2018年においては、「企業組合ワーカーズ・コレクティブ轍・東村山事件」により、労働者の定義に関与する法的な問題が浮上しました。これらの課題を背景に、労働者協同組合法が2022年に施行され、これによって労働者協同組合が法的に明確化されました。

新たに設立された特定労働者協同組合は、都道府県知事による認証を受けることで非営利性が確認され、税制優遇措置が適用されることになります。これにより、労働者全員が出資、経営、業務に関わるという特徴が強調されます。

全国レベルの組織

現在、日本には「日本労働者協同組合（ワーカーズコープ）連合会」や「ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン（WNJ）」など、労働者協同組合を支援・推進する全国団体があります。これらの団体は、労働者協同組合の理念を広め、協同組合の運営や成長を図る重要な役割を果たしています。

2023年4月時点では、日本の労働者協同組合において、出資金は多くの場合、1人当たり1万円から5万円程度に設定されています。これにより、より多くの人が参加しやすい環境が整えられています。労働者協同組合は、労働者の権利と地域社会の発展を両立させる重要なモデルとして、今後も注目されることでしょう。

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