企業組合

企業組合について

企業組合（きぎょうくみあい）は、個人が協力して非営利の事業を運営するための相互扶助の仕組みです。この組織は特に日本において、中小[[企業]]等協同組合法（昭和24年法律第181号）に基づいて設立されています。組織としては法人の形をとり、主に労働者や個人が共同で出資し、働きながら経営を行います。企業組合の核となるのは、組合員自身が直接事業に従事し、利益を共に享受することにあります。

特徴

企業組合は他の類似の組織、例えば生活協同組合や農業協同組合とは異なり、組合員が事業活動に直接関与します。この点が、ただサービスを利用する「利用協同組合」との大きな違いであり、自己資源を持ち寄って共同で事業を創出し、稼働することが基本的な理念です。また、企業組合は「生産協同組合」として分類されることもあります。

このような企業組合は、旧ソ連のコルホーズや中国の集体企業といった形態と共通点があり、仲間としての協力を重視します。また、株式会社のような営利企業とは異なり、特定の理念や社会的希望の実現に焦点を当てることが特徴です。このことから、企業組合という名称により、労働組合の一形態である「企業内組合」と混同されがちな点には注意が必要です。

歴史

企業組合の源流は明治時代にまで遡りますが、実際に制度化されることができたのは、戦後の復興期に入ってからです。戦争からの引揚者や失業者が共同で資材を持ち寄り、生活基盤を再構築する過程で生まれた「生産合作社」運動が重要な役割を果たしました。この運動は、米国やニュージーランドの協同組合運動の支援を受けており、その結果、1949年に中小[[企業]]等協同組合法が制定され、企業組合の制度が確立されました。しかし、その後の設立には資金逃れを目的とした「泡沫組合」が問題となり、設立に関する規制が強化されました。

種類

企業組合は様々な種類が存在します。以下に代表的なものを挙げます。

- 労働者企業組合：これには、労働者や失業者が共同で事業を後押しするために作るものや、倒産した企業を再建するために設立されるものがあります。
- 市民ボランティア企業組合：主に女性や学生によって組織され、ボランティア活動を通じて社会貢献を行います。
- 個人事業者企業組合：小規模な工場や商店が集まって事業を統合し、経営の効率化を図ります。
- 綜合企業組合：地域の異なる業種の個人事業者が集まり、協力して経営を行う形態です。

組織の運営

企業組合は、最低でも4人以上の個人が集まれば設立できます。組合員は、労働者、無業者、事業者などに制限は無く、出資口数は1/4以下に制限されます。事業の種類は営利・非営利を問いませんが、和協を重要視し、特定の収益を追求することは許されません。

組合員の加入や脱退は自由で、全ての組合員は平等な議決権を持ち、利益配分も組合に従事した割合に基づき行われます。組合は特定の政党の利益のために利用されてはならず、組合員の3分の2以上は事業に従事しなければならないと規定されています。このような構成やルールにより、企業組合は相互に支え合う体制を維持しながら運営されています。

企業組合の設立には、都道府県知事の認可が必要です。これは、以前に発生した脱税を目的とした「泡沫組合」の問題を受けての措置です。ただし、設立が法令に反する、または経営の基礎を欠く場合などを除き、原則として認可されることが求められています。

参考文献

- 樋口兼次著『労働資本とワーカーズ・コレクティヴ』（2005年）
- 国井長次郎著『国井長次郎著作集第2巻　合作社運動』（1991年）
- 中小[[企業]]団体中央会編『中小[[企業]]組合組織論』（2020年）
- 樋口兼次著『日本の労働者生産協同組合（ﾜｰｶｰｽﾞｺﾚｸﾃｨｳﾞ）のあゆみ』（2020年）
- 柏井・樋口・平山共同編『西暦42030年の協同組合』（2020年）

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