動物性脂肪

動物性脂肪とは

動物性脂肪とは、動物の体内に存在する脂肪のことで、主に食肉や乳製品から摂取されます。食肉に付随する脂肪は、獣脂、ヘット（牛脂）、ラード（豚脂）などと呼ばれ、乳由来のものは乳脂肪と呼ばれます。これらの脂肪は、飽和脂肪酸を多く含むことが特徴で、過剰摂取は健康への悪影響が指摘されています。しかし、アザラシの皮下脂肪のように、健康に良い影響を与えるものも存在します。

動物性脂肪の主な供給源

動物性脂肪の主な供給源は、食肉、バター、ラード、乳脂肪の含まれる牛乳や乳製品です。また、バターや乳脂肪を使った菓子も動物性脂肪の供給源となります。これらの食品は、飽和脂肪酸の主な供給源であり、その摂取量の削減が目標とされてきました。動物性脂肪は、飽和脂肪酸として言及されることが多く、健康への影響については、飽和脂肪酸に関する情報も参照するとより理解が深まります。

動物性脂肪の摂取と健康

1977年にアメリカで策定された「米国の食事目標」では、総カロリーに占める脂肪の割合を30%に抑えるために、動物性脂肪の摂取を減らすことが目標とされました。この目標は、アメリカ人の飽和脂肪酸摂取量の大部分を動物性脂肪が占めているという背景に基づいています。日本では、1980年代に「日本型食生活」が提唱され、米を中心とした多様な食品を摂取することで、動物性脂肪や砂糖の過剰摂取を避けることが推奨されました。その後も、日本の食生活指針において、動物性脂肪の摂取に関する指針が示されてきました。

動物性脂肪を多く含む食品には、牛、豚、羊といった食肉、鶏肉、卵、バター、ラード、乳脂肪の含まれる牛乳、チーズ、アイスクリームなどがあります。特に乳脂肪は、飽和脂肪酸の比率が高い食品です。一方で、鶏肉や魚は、牛や豚に比べて飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多いことが特徴です。

動物性脂肪の歴史

畜産技術の発達により、家畜の脂肪含有量は増加しました。特に、霜降り肉のように脂肪が多い肉は、良質なものとして価値を与えられてきました。しかし、野生動物では、大型動物の方が脂肪を多く蓄えていますが、その多くは不飽和脂肪酸であり、飽和脂肪酸は少ないです。人類は、畜産によって効率的に飽和脂肪酸を摂取するようになり、その結果、20世紀後半には健康問題が指摘されるようになりました。

動物性脂肪の組成

動物性脂肪の組成は、飼育方法によって変化します。例えば、魚油を添加した餌を与えた鶏卵では、心疾患のリスク軽減に期待できるω-3脂肪酸の比率が増加します。また、植物油も飽和脂肪酸の供給源となりますが、水素添加されたショートニングやマーガリンは、トランス脂肪酸を多く含み、健康への悪影響が懸念されてきました。

動物性脂肪の物理的特徴

動物性脂肪は、飽和脂肪酸を多く含むため、一般的に融点が高く、常温で固体になりやすい傾向があります。一方、植物油は不飽和脂肪酸を多く含むため、常温で液体のものが多いです。

動物性脂肪と発がん性リスク

2015年、IARC（国際がん研究機関）は、ベーコンなどの加工肉を「発がん性あり」のグループ1に、牛豚羊馬ヤギなどの赤肉を「おそらく発がん性あり」のグループ2に指定しました。特に加工肉では、ニトロソアミンというタンパク質の関与が知られています。この発がん性リスクは、脂肪に限ったことではありません。

まとめ

動物性脂肪は、私たちの食生活において重要な役割を果たしてきましたが、その過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。動物性脂肪の種類や摂取量、飼育方法などを考慮し、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。

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