勤務医

勤務医：医療現場を支える医師たちの現実

勤務医とは、病院や診療所などに雇用され、診療に従事する医師を指します。歯科医師を含む多くの医師がこの形態で働いており、開業医と対照的な存在です。

勤務医の種類

勤務医は、大きく分けて以下の2種類に分類されます。

1. 常勤医師

常勤医師は、医療機関の正規職員としてフルタイムで勤務する医師です。一般的に「勤務医」と呼ばれることが多いのは、この常勤医師を指します。長時間労働や厳しい勤務体制といった問題が指摘されており、その実態は決して楽なものではありません。

2. 非常勤医師

非常勤医師は、医療機関の正規職員ではなく、派遣契約やアルバイト契約などで勤務する医師です。勤務時間は限られており、特定の診療科目や業務を担当することが一般的です。

常勤医師の勤務実態

一般的な常勤医師の勤務は、外来診療、入院患者の回診、検査（内視鏡検査や血管内治療など）、そして処置など多岐に渡ります。多くの医療機関では、研究のための時間なども割り当てられていますが、実際には他の医療機関での非常勤勤務にあてられるケースが多いのが現状です。特に大学病院や大規模病院では、正規の給与だけでは生活が厳しいため、当直や非常勤勤務で収入を補う医師も多くいます。

当直勤務

入院病床を持つ医療機関では、常勤医は通常の勤務に加え、夜間勤務である当直勤務を行うことがほとんどです。総合病院などでは診療科ごとに当直医が配置されますが、中小規模の病院では、1人の医師が複数の診療科の夜間診療を担当することも珍しくありません。患者さんの急変時には、チーム医療であっても、主治医が責任を持って対応することが求められるため、24時間体制で呼び出しに対応する必要があるといっても過言ではありません。特に、産婦人科、小児科、脳神経外科など、常勤医が少ない診療科では、1人の医師にかかる負担が大きく、頻繁な当直勤務を強いられるなど、過酷な労働環境となっています。

定年と退職金

国立[[病院機構]]では医師の定年を65歳としていますが、国公立系の大学病院や公的総合病院では、65歳定年もしくは60歳定年＋5年継続雇用（再雇用制度）が一般的です。民間病院では、定年制を廃止しているところもありますが、多くの場合「定年＋再雇用制度」を採用しています。

勤務医の退職金は、一般的に他の職業に比べて低い水準です。これは、勤務医の給与に退職金の要素が含まれているという歴史的背景によるものです。医師免許には有効期限がないため、高齢になっても現役を続ける医師も少なくありません。

勤務医を取り巻く問題点

勤務医は、労働時間の問題を抱えています。長時間労働は珍しくなく、疲弊して退職する医師も多くいます。そのため、病院の設置者を不当労働行為で告発するケースや、未払いの残業代を請求する訴訟なども発生しています。

また、勤務医は給与所得者であるため、他の職業と同様に定年があります。定年後も医業を続けたい医師は、開業医への転向を検討する傾向があります。特に、脳神経外科や病理診断科など、開業に向かない診療科や、専門性を活かしにくい診療科を敬遠する傾向もみられます。

さらに、開業医は個人事業主であるため、税制面で優遇措置を受けられますが、勤務医は給与所得者であるため、このような優遇措置はほとんどありません。この税制上の違いも、開業医への転向を促進する要因となっています。

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