北九州市立美術館

北九州市立美術館について

北九州市に位置する北九州市立美術館は、地域の美術文化を支える重要な施設です。本館は戸畑区にあり、その近くにはアネックス、そして小倉北区のリバーウォーク北九州内にも分館を持っています。これにより、さまざまなアート作品を広く展示し、多様な鑑賞体験を提供しています。

本館とアネックスの概要

本館は1974年に竣工され、著名な建築家・磯崎新によって設計されました。磯崎はカテドラルを想起させる形状を意図し、外観は二つの大きなボリュームがキャンティレバーで支えられたシンメトリックな構成となっています。この独特のデザインから、「丘の上の双眼鏡」という愛称がついています。エントランスホールには三層の吹抜けがあり、その圧倒的な空間が来館者を迎え入れます。

美術館では印象派をはじめとする多岐にわたる作品が収蔵されており、特に九州大学の国文学者・田村専一氏から寄贈された浮世絵約1300点は貴重なコレクションとして知られています。1998年には公共建築百選にも選ばれ、2006年の映画『デスノート』の撮影地としても利用されました。また、2012年には映画『図書館戦争』のロケも行われました。

しかし、老朽化のため本館は2015年に一時休館。その後はアネックスも大規模な修繕工事を経て、2017年にリニューアルオープンしました。このリニューアルでは、作品の保存と展示に必要な温湿度管理設備が更新され、バリアフリー対応も施されています。開会式には設計者の磯崎新も出席し、その現代的な設計が再評価されました。

交通アクセス

北九州市立美術館へのアクセスは、公共交通機関や自家用車などが利用できます。西鉄バスが運行しており、小倉・黒崎方面からは1番、22番に乗車後、七条で下車。そこから美術館行きのシャトルバスを利用できます。また、戸畑駅からは40番バスで美術館口に向かい、徒歩またはシャトルバスでのアクセスが可能です。福岡方面からは、高速バスいとうづ号を利用する方法もあります。自家用車を利用する場合は、北九州高速4号線の山路出入口から約2.8kmの距離に位置しており、駐車場も完備されています。

主な収蔵作品

北九州市立美術館は開館以来、積極的に作品の収集を行っています。特に近年では、値上がりしがちな絵画市場の中で比較的安く手に入る現代美術の若手アーティストの作品が多く収蔵されています。中には評価が定まらない作品もあるものの、草間弥生やフランチェスコ・クレメンテといったアーティストの作品が評価を高めています。特に、バスキアの『消防士』は375万円で購入されたものが2019年には100億円近い価値にまで達すると言われています。

また、収蔵品には歌川広重『玉屋内しら菊』やクロード・モネの『睡蓮、柳の反影』、ピエール＝オーギュスト・ルノワールの『麦わら帽子を被った女』といった名作が含まれており、様々な時代のアートを鑑賞できます。

分館について

分館は2003年にリバーウォーク北九州の一部として開館しました。ここでは本館とは異なる役割で、街中でさまざまなジャンルの展覧会、イベントが開催されています。分館もまた、地域住民や観光客にアートを身近に感じてもらう役割を担っています。

北九州市立美術館は、地域の文化拠点としての位置付けを持ち、時代を超えた美術体験を通じて多くの人々に愛され続けています。

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