北海道科学大学短期大学部

北海道科学大学短期大学部：自動車技術者育成の先駆け

北海道札幌市手稲区に本部を置いていた北海道科学大学短期大学部（愛称：自短）は、1953年に北海道自動車短期大学として開学し、2022年に廃止された私立短期大学です。ここでは、その沿革、教育内容、特色について詳しく解説します。

沿革

1953年、北海道自動車短期大学としてスタートした本学は、自動車工業科から始まり、情報経営システム学科、電子機械工学科を増設し、最盛期には学生総数が4桁に達しました。2001年度以降は自動車工業科に一本化され、2020年度の入学生を最後に、2022年に短期大学としての使命を終えました。

建学の精神と教育理念

「尚志」を建学の精神とし、「志を高くする」ことを重視していました。教育理念には「進取不屈」を掲げ、知識・技術の修得はもとより、洞察力と価値創造力を養い、積極的に物事を成し遂げる精神力と健全な身体を育成し、社会に貢献できる人材育成を目指していました。

教育と研究

自動車工業界で活躍できる人材育成に力を入れ、50年以上にわたり自動車整備士を育成。全国の短大で唯一、夜間部の自動車工学系の学科を設置していました。情報経営システム学科では、経営学、流通、情報、コミュニケーションに関する科目を展開。「自動車技術」「自動車産業論」など自動車関連科目も充実していました。電子機械工学科では、機械系、電子系、情報系の科目を学ぶことができました。

学風と特色

日本初の自動車工学系の短期大学として開学以来、25,000名以上の卒業生を輩出し、多くの自動車整備士を社会に送り出してきました。ソーラーカーなど、新時代に向けた研究にも実績を残しています。二級自動車整備士（ガソリン・ディーゼル）の合格率は常に全国トップクラスを誇り、受験生全員がガソリン・ディーゼルの2種目で完全合格を達成したこともあり、その指導レベルの高さが伺えます。卒業生の多くは道内で活躍していました。

学科の変遷

自動車工業科
第一部 → 自動車工学科
第二部
情報経営システム学科
* 電子機械工学科

取得可能な資格

二級自動車整備士の受験資格が得られ、在学中に所定のコースを受講することで実技試験が免除される特典がありました。

附属機関と研究活動

交通科学総合研究所を附属機関として持ち、『北海道自動車短期大学研究紀要』を発行。広報誌「あごら」も1983年7月に創刊されました。

学生生活

体育系・文化系ともに多彩なクラブ活動が盛んでした。体育系では、野球、バスケットボール、柔道、スキー、卓球など。文化系では、自動車部、ソーラーカー研究会、軽音楽部などがありました。学園祭は「尚志祭」と呼ばれ、学生たちの熱気で賑わいました。剣道部が強く、北海道学生剣道大会で優勝した実績もあります。

大学関係者と卒業生

歴代学長には、苫米地英俊氏、黒岩保氏、小澤保知氏、村山正氏らが名を連ねています。著名な卒業生としては、高橋名人が中退していますが、その名が知られています。

施設

3号館、2号館、ボディリペア実習室、電子計算機室（1970年10月設置）、図書館（2号館2F）などが設置されていました。

社会との関わり

社会人向けの自動車整備士二・三級講習や市民大学公開講座を実施。開学30周年、50周年の記念行事としてシンポジウムや交通フォーラムを開催しました。ソーラーカー研究会は、ワールド・ソーラー・チャレンジに неоднократно 参加し、実績を残しました。

卒業後の進路

系列の北海道科学大学への編入学が盛んでした。その他、室蘭工業大学、八戸工業大学、福井工業大学、札幌大学、札幌学院大学など、多様な大学への編入学実績があります。

北海道科学大学短期大学部は、自動車産業界に多くの人材を輩出し、日本の自動車技術教育に大きく貢献しました。その歴史は、日本の自動車産業の発展とともに、永く記憶されることでしょう。

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