十二章

十二章の概要

十二章は、古代中国およびそれに影響を受けた東アジアの国々において、王や皇帝が着用する礼服、袞衣に施される特別な模様です。これらの模様は、古代の文献である『書経』益稷篇に記載されており、現在でも文化的な意義を持つ象徴的なデザインとされています。十二章は、6つの模様が上衣に、残りの6つが裳に用いられるとされています。

十二の模様とその意味

1. 日: 明るさや光を象徴し、生のエネルギーを表す。
2. 月: 夜の明かりを意味し、静けさや内面的な豊かさを象徴。
3. 星辰: 星や星座の象徴であり、世の中を照らし人々に福をもたらす意味を持つ。
4. 山: 地の安定を意味し、秩序と穏健さを表す。
5. 龍: 神秘的で変幻自在な存在を意味し、力や威厳を象徴。
6. 華虫: 美しさを象徴する鳥の雛で、古代の意匠として愛される存在。
7. 宗彝: 祭祀に用いる酒器であり、先祖を敬う意味を持つ。
8. 藻: 水の清浄さを表し、清らかな環境を意味する。
9. 火: 明かりや光を象徴し、藻と対になる意匠を持つ。
10. 粉米: 米粒を形取った模様で、養育や育成を象徴。
11. 黼: 斧のような形状をし、悪を断ち切り果断さを示す。
12. 黻: 「亜」字型の模様で、分別や明察を意味し、善悪の選択を象徴。

これらの模様は、単なる装飾ではなく、特別な意味や神聖な意義が込められています。『周礼』の春官・司服に関する鄭玄の注釈によれば、これらの模様は天子の冕服に用いられ、古代の時代ごとに異なる数の模様の服が存在していました。

現在の影響

十二章は、1913年に制定された中華民国の国章にも見ることができます。この国章は、古代の模様を組み合わせてデザインされており、伝統と現代の架け橋として機能しています。

日本においても、古代中国の唐の様式を受け継ぎ、天皇が着用する袞衣「袞龍の御衣」に12の文様が刺繍されるなど、その影響は広がっています。日本の袞衣は、文化的な継承とともに、国家の象徴としての役割も担っています。

結論

十二章は、古代から続く伝統的な模様の一つであり、その背後には深い意味や文化的な価値が隠されています。これらの模様は、ただの装飾品ではなく、時代を超えて人々の心に訴える象徴的な存在として、今なお重要視されています。

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