十村駅

十村駅：小浜線沿線の静かな駅

十村駅は、福井県三方上中郡若狭町井崎に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）小浜線の駅です。小浜線内では最も駅間距離が短いのが特徴で、隣の藤井駅とはわずか2kmしか離れていません。

歴史を辿る

十村駅の歴史は古く、1917年（大正6年）に小浜線の終着駅として開業しました。当初は旅客と貨物の両方を扱っていましたが、1961年（昭和36年）に貨物取扱いを廃止。その後、1973年（昭和48年）には無人駅となりました。1986年には特殊自動閉塞導入に伴い運転業務も無人化されましたが、近距離乗車券の発売は継続されました。国鉄分割民営化後の1987年（昭和62年）4月1日からは、JR西日本の駅として運営されています。近年では、2022年（令和4年）3月に駅舎のリニューアル工事が完了し、新たな姿を見せています。

駅の構造と設備

十村駅は島式ホーム1面2線を有する地上駅で、線路はY字分岐となっています。そのため、列車の入線時には速度制限（50km/h）が設けられています。駅舎とホームは構内踏切で結ばれており、ホームの西側には使われていない留置線が1本残っています。かつては快速列車も運行されていましたが、現在では各駅停車のみが停車します。駅舎自体は存在しますが無人駅であり、自動券売機は撤去されています。ただし、トイレは駅舎内に設置されています。

駅の特色

十村駅のホームには、下り（1番のりば）に接近警告機が設置され、「村の鍛冶屋」のメロディーが流れるという特徴があります。一方、上り（2番のりば）の入線時には、構内踏切の警告音が鳴ります。これらの音は、乗客に列車の接近を知らせる役割を果たしています。

利用状況と周辺環境

2021年度の1日平均乗車人員は約59名と、利用者は比較的少ないです。駅周辺は、広大な田畑が広がるのどかな風景が広がっています。若狭梅街道が駅北側から駅西側を通り、その周辺には社会福祉協議会の事業所や井崎砦跡などの史跡があります。民家は駅南側から駅東側に集中しており、国道27号へのアクセス道路として福井県道145号線が整備されています。また、駅からやや離れた場所には、福井県嶺南運転者教育センターも立地しています。その他、円成寺（みかえりのマツがある福井県指定天然記念物）も周辺の観光スポットとして挙げられます。

隣の駅

十村駅の隣駅は、下り方面が小浜線の大鳥羽駅、上り方面が小浜線の藤井駅です。

まとめ

十村駅は、小浜線沿線に位置する、静かで歴史のある無人駅です。駅舎のリニューアルを経て、新たな出発を迎えつつ、その周辺環境と歴史的背景を合わせて、独特の雰囲気を醸し出しています。利用者の少ない駅ではありますが、地元住民にとって大切な交通拠点であり続けていると言えるでしょう。

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