千歳型航空母艦

千歳型航空母艦：水上機母艦からの変貌と短い生涯

千歳型航空母艦は、日本海軍が保有した軽空母として知られています。しかし、その呼称は、太平洋戦争中のアメリカ合衆国や戦後の出版物で便宜的に用いられたものであり、日本海軍の公式な分類では、同艦型は『瑞鳳型航空母艦』に属していました。本稿では、その設計、兵装、運用史を詳細に解説します。

設計と特徴

千歳型は、同時期に改造された瑞鳳型空母と設計思想を共有する平甲板型空母でした。しかし、飛行甲板の高さは瑞鳳型より1メートル以上低く設計され、船体には最大幅1メートルのバルジが装着されていました。これは、安定性向上と搭載機数の増加を目的としたと考えられます。

機関は水上機母艦時代のものをそのまま使用しており、煙突は日本海軍空母の特徴である右舷下方への配置が踏襲されました。ボイラー用とディーゼル用で2本の煙突が設置され、それぞれ1番高角砲直後と3番高角砲直前に位置していました。

直接的な防御能力は備えていませんでしたが、間接防御に重点が置かれていました。防水区画の整備や下部区画へのアクセス経路の工夫、特に水面上わずか1メートルほどの高さしかない下部格納庫には、隔壁を増設することで3区画に分割するなど、浸水対策が徹底されていました。

航空兵装と搭載機

飛行甲板は全長180メートル、最大幅23メートルと、小型ながら十分な寸法を有していました。エレベーターは2基装備され、それぞれ長さ13メートル、幅12メートルの大きさでした。格納庫は2段式で、下部格納庫は甲標的格納甲板として利用されていました。この甲板は水面上わずか1メートルの高さに位置していました。

着艦制動装置として呉式四型7基7索、滑走制止装置として空廠式三型1基が装備されましたが、遮風柵は装備されていませんでした。搭載機数は、搭載する機体の種類や作戦状況によって変化したと考えられます。

対空兵装

対空兵装としては、12.7cm連装高角砲4基、25mm3連装機銃10基を備えていました。さらに、あ号作戦前には橇式25mm単装機銃12挺が装備され、あ号作戦後には追加で12挺が搭載されました。レイテ沖海戦時には、噴進砲も搭載されていたことが確認されています。

対空レーダーとしては、改造完了時に21号電探が前部エレベーター前に昇降式で装備され、あ号作戦後には13号電探1基が増設されました。

運用史と最期

ミッドウェー海戦での空母損失を受け、日本海軍は空母戦力の再建を急ぎました。1942年6月30日の通達により、千歳型水上機母艦の航空母艦への改造が決定され、同年9月30日の訓令により年末から改造工事が開始されました。

改造には、バルジの装着、格納庫の設置、煙突の変更など多くの工事が伴いました。約1年の改造期間を経て、1943年末までに千代田、千歳の順に完成しました。1943年12月15日の内令により、瑞鳳型航空母艦に分類されました。

千歳型は、マリアナ沖海戦で初陣を飾り、レイテ沖海戦で両艦とも撃沈されました。レイテ沖海戦における瑞鳳の航空写真に「づほ」と記されていたことから、千歳と千代田にもそれぞれ「ちと」「ちよ」の文字が記されていたと推測されています。

千歳型航空母艦は、日本海軍の航空母艦戦力再建の一端を担いましたが、その短い生涯は太平洋戦争の激しさ、そして、日本海軍の苦境を象徴するものでした。

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