「千秋(せんしゅう、ちあき)」という言葉は、本来、物事の終結や完了、あるいは永続・長い年月といった意味合いを持ちます。特に、興行や行事の最終日を指す「
千秋楽(せんしゅうらく)」は広く知られています。また、非常に待ち焦がれる気持ちを表す「一日千秋(いちじつせんしゅう)」という四字熟語や、「一日千秋の思い」といった形で慣用的に使われます。
この「千秋」という響きや意味合いは、日本の各地で地名としても見られます。代表的な例としては、東北地方の
秋田県秋田市に存在する千秋地区があります。ここは、かつて
久保田城が置かれた場所であり、その城跡が整備された
千秋公園にちなんで名付けられました。公園の名前には、秋田の「秋」に長い年月を意味する「千」を冠することで、繁栄や永続への願いが込められています。
中部地方にも「千秋」の地名は点在します。
新潟県長岡市には、
信濃川の左岸に広がる千秋地区があり、公共施設や教育機関が多く集まる地域として知られています。また、この地はかつて「
田中金脈問題」に関連して取り上げられた経緯もあります。
愛知県には、
一宮市に千秋町があり、これはかつての
丹羽郡千秋村が市町村合併によって町制施行された地域です。さらに、現在では別の自治体の一部となっているものの、かつて
愛知県には海東郡(現在の
蟹江町の一部)、
丹羽郡(現在の
一宮市千秋町)、南設楽郡(現在の新城市の一部)にもそれぞれ「千秋村」という名称の村が存在していました。
日本国外では、中国にも「千秋」という地名が見られます。例えば、
江蘇省塩城市の
射陽県には千秋鎮が、
四川省南充市の
南部県には千秋郷が存在します。
また、「千秋」は人名としても使われることがあります。性別を問わず名前に採用されることがあり、苗字としても存在します。特に、
千秋家は
藤原季範の子孫であり、熱田神宮の大宮司を務めた家系の一つとして知られています。名前としては、タレントの千秋さんや、沖縄出身の音楽バンド「しゃかり」のメンバーである千秋さんが挙げられます。
地名や人名以外にも、「千秋」という名が使われる例があります。例えば、
リンゴの品種の一つに「千秋」という名前のものがあります。かつては、
奥羽本線で運行されていた優等列車にも「千秋」という愛称が付けられていましたが、これは後に「つばさ」に統合され、現在は使用されていません。これらの例からも、「千秋」という言葉が持つ多様な側面がうかがえます。