千鳥かなめ

千鳥かなめ：フルメタル・パニック！のヒロイン

千鳥かなめは、賀東招二氏によるライトノベル『フルメタル・パニック！』シリーズ、およびその派生作品である漫画やアニメに登場する主要人物であり、物語の中心的なヒロインです。アニメ版ではゆきのさつきさん、CDドラマ版では氷上恭子さんによって声を演じられています。

人物像

物語開始時点では、東京都立陣代高校に通う高校2年生（後に退学）。1981年12月24日生まれ（アニメ版では1984年生まれ）で、アメリカでの生活経験を持つ帰国子女です。容姿端麗、スタイル抜群で、学業成績も平均以上と、非の打ち所のない人物像です。しかし、その実態は少々複雑で、多面的な性格を持っています。

ミスリルという組織からは「エンジェル」、敵対組織であるアマルガムからは「ヨブ」というコードネームが付けられています。ソ連関係者からは、名前のローマ字表記をロシア語読みした「タイドリー・カヌム」と呼ばれていました。

陣代高校生徒会では副会長、クラスでは学級委員を務めていた彼女ですが、歯に衣着せぬ物言いや、時として過激な言動が目立つため、周囲からは「恋人にしたくないアイドル・ベスト・ワン」と揶揄されることもありました。しかし、その一方で、彼女は物語の要となる存在であり、作中の時間軸における「キーストーン」ともいえる重要な役割を担っています。

性格と行動

かなめは活発で行動的な性格の持ち主です。思ったことはすぐに口にするストレートな言動が目立ちます。物語序盤ではやや危機感に欠ける場面もありましたが、困難な状況を乗り越える中で、芯の強さと、状況への対応能力の高さを示しています。ウィスパードとしての能力が目覚めた後は、知能が飛躍的に向上し、より現実的な判断をするようになりましたが、同時に、精神的に脆い一面も露わになります。

恋愛に関しては、一般的な高校生と同じように、臆病な一面も持ち合わせています。自身を自己中心的であると認識しつつも、素直に謝罪することが苦手で、しばしば問題を引き起こしてしまいます。都合が悪いことやごまかしたいことがあると、「う、うはははは…」と乾いた笑い声を上げる癖があります。

趣味嗜好と家族

彼女はオハイオ屋のトライデント焼きが好物で、ドクターペッパーを愛飲します。マニアックな特撮時代劇を鑑賞したり、幽霊が苦手であるなど、意外な一面も見せています。巨人とジェームス・ブラウンの大ファンであることも明かされています。

父親は国連高等環境弁務官で、妹のあやめと共にニューヨークに住んでいますが、母親は癌で亡くなっています。父親の多忙により、母親の最期を看取れなかったことが原因で、父娘間には確執が残っています。母方の祖父である小村修二郎は、第二次世界大戦中に第302哨戒中隊に所属していた元中尉で、かなめとはよく似た性格をしています。

ウィスパードとしての能力

かなめは「ウィスパード」と呼ばれる特殊な能力を持つ人間の一人であり、その能力を狙う様々な組織から狙われています。ウィスパードとしての能力は物語の鍵を握る重要な要素であり、物語の展開に大きく影響を与えます。その能力が目覚めたことで知能が飛躍的に向上しましたが、同時に周囲の人間を見下すようになるなど、性格にも変化が見られました。

しかし、彼女はあくまで一般人として生きていこうとしており、ミスリルに対してブラックテクノロジーを提供したことはありませんでした。テッサ・テスタロッサとは思考共有が可能な「共振」という能力を持っており、幾度となく窮地を脱する際に重要な役割を果たします。ソフィアという存在に精神を乗っ取られた後は、『TARTAROS』という技術を開発するなど、彼女の能力は物語全体に大きな影響を与え続けます。

作中での行動

物語を通して、かなめは様々な出来事や困難に直面し、成長を遂げていきます。宗介との出会い、ウィスパードとしての能力の覚醒、周囲の人々との関係、そして自身の存在意義など、彼女を取り巻く様々な要素が複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。

評価

『このライトノベルがすごい！』女性キャラクター部門で2008年版5位を獲得するなど、高い人気を誇っています。その魅力は、完璧な容姿だけでなく、複雑で多面的な性格、そして物語の中心で活躍する重要な役割にあると言えるでしょう。

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