南の虹のルーシー

『南の虹のルーシー』は、1982年1月10日から12月26日までフジテレビ系列で放送された日本のアニメーション作品であり、全50話に渡るシリーズです。本作は、文化庁が認定する昭和57年度子供向TV用優秀映画賞を受賞しています。このアニメは「世界名作劇場」の第8作目で、原作はフィリス・ピディングトンの小説『南の虹』（Southern Rainbow）です。

概要

物語の舞台は1830年代後半の開拓時代のオーストラリア。イギリスのヨークシャーから南オーストラリアのアデレードに移住してきたポップル一家の夢は農場を持つことでした。シリーズの前半では、彼らがアデレードに到着し、住居を購入して生活基盤を作る過程が描かれています。主人公のルーシー・メイは動物好きで活発な少女で、姉のケイトと共に未開の大自然で様々な動物と出会い、先住民とも交流を持ちます。

後半では、移住から3年が経過した頃の一家が農地を持てず苦しむ様子と、ルーシー・メイに降りかかる事件を中心に物語が展開します。この作品は特に、アニメオリジナルの展開が多く見られ、原作とは異なる様相を呈します。また、放送前には原作の日本語訳が刊行されていなかったため、産経新聞のリビングブックに翻訳が連載され、後に書籍化されました。

アニメには、カンガルーやコアラ、カモノハシといったオーストラリア特有の動物が多く登場し、ルーシー・メイや他の子供たちの声は、児童劇団からのオーディションを通じて選ばれた60名以上の候補者の中から選ばれました。

あらすじ

1837年、ポップル一家は農場の夢を抱いてオーストラリアに到着しました。しかし、政府の測量が遅れたため、彼らは農地を取得することができず、代わりにアデレードに小さな家を購入し、生活を始めることになります。実際に農地を得るチャンスが訪れますが、意地悪な金持ち、ペティウェルの妨害に遭うことで叶わぬ夢となります。

2年後、家族はアデレードの中心部に引っ越し、農地を得られない中で父アーサーは希望を失い始めます。そんな中にルーシー・メイが事故に遭い、記憶喪失になってしまう事件が発生します。彼女を保護した大富豪のプリンストン夫妻はかつて亡くした娘に似ているルーシーを養子にしようとしますが、ルーシーは最初は断ります。しかし、家族のために自分が養子になることで農地を得る手助けになると考え、心に葛藤を抱えながら承諾を決意します。

プリンストンは彼女の本心を汲み取り、家族愛の深さに心を打たれ、一家に良い条件で土地を譲ることを決めます。このようにして、ポップル一家は念願の農地を手に入れ、希望に満ちた新たな旅立ちへと向かいます。

登場人物

ポップル一家の主要キャラクターは以下の通りです。

- ルーシー・メイ・ポップル：本作の主人公。動物好きであり、生命に対する深い愛情を持つ少女。
- ケイト・ポップル：ルーシーの姉で、しっかり者。算数が得意で、家族と協力しながら日々を過ごします。
- クララ・ポップル：姉であり、将来は結婚を控えている。
- アーサー・ポップル：父親で、農業への夢を掲げてオーストラリアに来たが、苦悩を抱える大人の一人。
- アーニー・ポップル：ルーシーの母。子供たちを支えつつ、堅実な判断を下します。

他にも隣人や友人たちが登場し、彼らの関係性や苦悩も物語の重要な要素となっています。

スタッフ

本作は日本アニメーション製作で、監督は斎藤博氏、脚本は宮崎晃氏が担当しました。主題歌にはやまがたすみこさんの「虹になりたい」と「森へおいで」が使用されています。

評価

アニメ監督の岡村天斎氏は、本作のキャラクターのリアルさと、その物語が大人たちの苦悩に関係なく展開する点を高く評価しています。また、普段アニメを観ない視聴者からも話題として名を挙げられた作品です。これにより、『南の虹のルーシー』は今でも多くのファンに愛され続けています。

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