南山大学人類学博物館

南山大学人類学博物館は、愛知県名古屋市昭和区の南山大学構内に位置する大学博物館です。この博物館は、教育・研究への貢献と学術情報の発信を目的として運営されており、人類の歴史と文化に関わる貴重な資料を収集、保存、調査研究しています。

「For Everyone's Curiosities　全ての人の好奇心のために」を合言葉に、誰もが楽しめる「ユニバーサル・ミュージアム」を標榜している点が大きな特徴です。展示資料のほとんどに直接触れることができ、多言語や点字による解説も取り入れられています。これにより、幅広い人々が人類の多様な文化に触れ、理解を深めることができるよう配慮されています。

沿革

南山大学人類学博物館の歴史は、1949年（昭和24年）に南山大学人類学民俗学研究所の付属陳列室として、昭和区五軒家町に設置されたことに始まります。1958年（昭和33年）には、千葉県市川市にあった考古学研究所が解体された際、その収蔵品の一部が当館に移管されました。

1964年（昭和39年）には、大学キャンパスの移転に伴い、研究所から独立して図書館の地下1階に移転。その後、1973年（昭和48年）には地下3階へと移されました。この間、1967年（昭和42年）には文部省から「博物館相当施設」としての指定を受けています。

1979年（昭和54年）に人類学研究所から分離独立し、名称を「人類学博物館」と改めました。1983年（昭和58年）には図書館からG棟に移転し、2012年（平成24年）5月には移転準備のため一時閉館。そして、2013年（平成25年）10月に現在のR棟地下へと移転しました。

展示室

南山大学人類学博物館の展示室は、通常の博物館のように時代や地域別ではなく、収集過程別に資料を展示しています。常設展示スペースは、以下の4つのカテゴリーに分かれています。

信仰と研究

このカテゴリーでは、南山大学の母体である「神言会」に所属していた神父たちが収集した資料を展示しています。

J・マリンガー神父のコレクション：ヨーロッパの旧石器時代の石器類が中心です（通称：マリンガー・コレクション）。
G・グロート神父のコレクション：日本の縄文時代の考古資料を展示しています（通称：グロート・コレクション）。

南山大学の人類学・考古学研究

南山大学の教職員や学生が、調査・研究を通じて収集した資料を展示しています。

南山大学東ニューギニア調査団の資料：1980年代に収集されたパプアニューギニアの民族誌資料。
高蔵遺跡・瑞穂遺跡出土の資料：名古屋市熱田区の高蔵遺跡、瑞穂区の瑞穂遺跡から出土した弥生時代の考古資料を展示しています。

南山に託す

他の機関から寄贈された資料を展示しています。

今泉コレクション：埼玉県鶴ヶ島市から分割寄贈されたオセアニアの美術造形品。
上智大学調査団の資料：1980年代後半から1990年代初頭にかけて、上智大学の調査団が収集したタイ北部の民族誌資料。
大須二子山古墳の資料：郷土史家らが収集した、大須二子山古墳から出土した古墳時代の考古資料。

昭和のカタログ

昭和30～40年代の生活用品を展示しています。白黒テレビや氷冷蔵庫など、当時の暮らしを偲ばせる品々を展示しています。

利用案内

入館料: 無料
開館時間: 月曜日から土曜日、10:00〜16:30
休館日: 日曜・祝日・大学の事務休日、毎月最終水曜13時以降、大学入試期間

アクセス

名古屋市営地下鉄

名城線 - 八事日赤駅 1番出口から徒歩約8分。
鶴舞線 - いりなか駅 1番出口から徒歩約15分。

南山大学人類学博物館は、人類の歴史と文化を深く理解するための貴重な場所です。ぜひ一度訪れてみてください。

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