原始惑星

原始惑星：惑星誕生への道筋

太陽系のような惑星系は、どのようにして誕生したのでしょうか？その謎を解き明かす鍵となるのが「原始惑星」です。原始惑星とは、惑星系形成の過程で原始惑星系円盤内に現れる天体で、地球の月程度の大きさを持つと考えられています。

微惑星から原始惑星へ

惑星系の誕生は、塵やガスの集まりから始まります。これらの微粒子が互いに衝突・合体を繰り返すことで、直径数キロメートルの小さな天体、微惑星が形成されます。そして、さらに微惑星同士の衝突・合体が繰り返されることで、より大きな天体へと成長していきます。この過程で、質量が10²²～10²³ kg、直径2,000～3,000 kmに達した天体が原始惑星です。これは、現在の冥王星程度の大きさです。

数多の衝突と巨大衝突

初期の太陽系には、数百個もの原始惑星が存在していたと考えられています。これらの原始惑星は、互いの重力の影響を受け、軌道が交差したり衝突したりを繰り返しました。この過程で、原始惑星は数を減らしながら、より大きな天体へと成長していきます。そして、最終的には、比較的少数の原始惑星同士が巨大衝突を起こし、現在の惑星が形成されたと考えられています。この巨大衝突は、惑星内部構造の分化や、衛星の形成にも大きな影響を与えたと考えられています。

地球と月の誕生：ジャイアント・インパクト説

地球の衛星である月は、どのようにして誕生したのでしょうか？有力な説として挙げられるのが「ジャイアント・インパクト説」です。この説では、地球にテイアと呼ばれる原始惑星が衝突し、その衝突によって地球の一部が宇宙空間に飛び散り、それが集積して月が形成されたと説明しています。

原始惑星のその後

原始惑星は、惑星へと成長する過程で、内部が溶融し、内部構造の分化が進行します。放射性元素の崩壊熱や隕石の衝突が、その熱源と考えられています。隕石の分析から、一部の小[[惑星]]も内部構造の分化を経験していたことが分かっています。

原始惑星と準惑星

「原始惑星」という言葉は、惑星形成論で使われる専門用語ですが、現在の太陽系に存在する準惑星であるケレスや、小[[惑星]]パラス、ベスタなども、原始惑星の「生き残り」として捉えられることがあります。これらの天体は、初期の太陽系で形成された原始惑星が、様々な理由で惑星へと成長できなかったものと考えられています。

惑星の軌道と巨大衝突

惑星形成過程における原始惑星の挙動を、より詳細にシミュレーションした研究が進められています。その結果、太陽系の岩石惑星がほぼ真円に近い軌道を有しているという事実は、単純な巨大衝突モデルでは説明が難しいことが示されています。初期の原始惑星系円盤内に残存するガスや微惑星は、惑星の軌道を円軌道に近づける働きがあります。しかし、これらの物質が消失した後、原始惑星同士の重力相互作用のみでは、真円に近い軌道は説明できないと考えられています。そのため、木星の重力共鳴が原始惑星の軌道に影響を与え、巨大衝突を引き起こしたという説も提唱されています。また、巨大衝突によって生じた破片との摩擦が、惑星の軌道離心率や軌道傾斜角を減少させたという説もあります。

まとめ

原始惑星は、惑星形成過程における重要な中間段階です。微惑星から原始惑星、そして惑星への進化、巨大衝突説、太陽系の惑星形成への影響など、様々な角度から研究が進められています。今後の研究により、惑星系の形成過程に関する理解がさらに深まることが期待されます。

もう一度検索