各務支考

各務支考

各務 支考（かがみ しこう）は、寛文5年（1665年）に生まれ、享保16年2月7日（1731年3月14日）に没した江戸時代前期の俳諧師です。蕉門十哲の一人として知られています。本名は村瀬吉三郎で、東華房、西華房、獅子庵などの別号を用いていました。美濃国山県郡北野村西山（現在の岐阜市）出身です。

幼少の頃から俳句の才能を発揮し、元禄時代に松尾芭蕉の門下に入りました。森川許六とともに論客として知られていましたが、性格は利己主義的であるという評価もありました。しかし、後年には美濃派の育成に尽力し、多くの弟子を育てました。彼の著作には、『笈日記』、『俳諧十論』、『葛の松原』などがあります。

生涯

幼少期に父を亡くし、禅刹である大智寺に入りますが、19歳頃に還俗し、次姉の嫁ぎ先である各務宗三郎の家に入籍します。その後、京都や伊勢山田に滞在していたと考えられています。元禄3年（1690年）3月、近江で松尾芭蕉と出会い、入門。翌年には芭蕉に従って江戸へ下向しました。元禄5年（1692年）には陸奥地方を旅し、処女作である俳論書『葛の松原』を発表します。元禄7年（1694年）には、伊賀から大坂へ向かう芭蕉の旅に同行し、芭蕉の臨終を看取りました。この時、芭蕉の遺書を代筆しています。

芭蕉の死後、伊賀・伊勢・近江・江戸などを巡り、諸国を行脚しながら追善興行を繰り返しました。この間、芭蕉の遺吟・遺文を集めて『笈日記』を著しています。正徳元年（1711年）には仮死状態となり、以後、自らを先師と呼び、蓮二坊や渡辺ノ狂などの変名を名乗りました。この頃、伊勢山田に草庵（十一庵）を結び、そこを拠点として活動しました。『伊勢新百韻』を刊行した頃から、支考独自の作風が確立されました。その後、九州・中国・四国・北陸など各地を精力的に旅し、句集や俳論などを盛んに出版するとともに、多くの弟子を育成しました。享保4年（1719年）には加賀千代女を訪問し、「あたまからふしぎの名人」と評しました。

享保9年（1724年）以降は、郷里である美濃山県に定住し、蘆元坊里紅に道統を譲り、獅子庵で亡くなりました。享年67歳。亡くなる直前まで執筆を続け、『論語先後鈔』が絶筆となりました。生前に自ら建てた墓に大智寺に葬られ、墓碑銘は「梅花佛」と刻まれました。蘆元坊によって支考の追善集『文星観』が刊行されています。

各務支考から蘆元坊に伝えられた道統は、美濃派、または獅子門と称されます。獅子門は現在も続いており、第四十一世道統に引き継がれています。晩年の住まいだった獅子庵は岐阜県の史跡に指定されています。

美濃派

美濃派は、各務支考から蘆元坊に引き継がれた俳諧の一派で、獅子門とも呼ばれます。現在も活動が続いており、日本の俳句文化に貢献しています。

その他

各務支考は、桑名の名産である時雨蛤の名付け親であると言われています。

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