名古屋市瑞穂公園ラグビー場

パロマ瑞穂ラグビー場

愛知県名古屋市瑞穂区の名古屋市瑞穂公園内に位置する、フットボール専用の球技場です。正式名称は「名古屋市瑞穂公園ラグビー場」ですが、2015年4月1日より地元企業である株式会社パロマが命名権を取得し、『パロマ瑞穂ラグビー場』という愛称が使用されています。施設の所有者は名古屋市であり、運営管理は公益財団法人名古屋市教育スポーツ協会が指定管理者として担っています。

歴史と主な利用

このスタジアムは、長年にわたり様々なフットボール関連のイベントや大会に利用されてきました。

ラグビーにおいては、全国地区対抗大学ラグビーフットボール大会や地元アマチュアの公式戦の会場として機能してきました。国内最高峰リーグであるジャパンラグビーリーグワン所属チームの主催試合や、全国大学ラグビーフットボール選手権大会も開催されています。国際試合としては、日本代表戦やラグビージュニア世界選手権などが開催された実績があります。さらに、1994年の第49回国民体育大会（わかしゃち国体）では、ラグビー競技の会場としても使用されました。

サッカーにおいては、かつて名古屋グランパスエイト（現：名古屋グランパス）が、1992年から2001年にかけてホームゲームの一部を開催していました。特に、隣接する瑞穂陸上競技場（現：パロマ瑞穂スタジアム）が改修中だった1994年シーズン序盤には、グランパスの暫定的な本拠地として使用された歴史があります。Jリーグライセンスにおいては、J1基準（固定座席15,000人以上）を満たしていませんが、J2以下の基準は充足しているため、今後もJ2やJ3の試合が開催される可能性があります。その他、1993年にはFIFA U-17世界選手権、天皇杯、メニコンカップなども開催されています。

芝生問題と伝説の一戦

スタジアムの歴史の中で特筆すべき出来事として、1993年5月22日に行われたJリーグ初期の名古屋グランパスエイト対横浜マリノス戦が挙げられます。この試合は、当時の芝生状態の悪さと豪雨が重なり、ピッチの大部分が剥げ上がるという劣悪なコンディションで行われました。試合は両チームが1点ずつを取り合い、延長戦でも決着がつかず、Jリーグ史上初のPK戦にもつれ込みました。ドラマチックな展開となったPK戦では、名古屋が勝利を収めました。

この試合の劣悪なピッチコンディションは大きな問題として注目され、スタジアムの芝生改良工事が早急に行われる契機となりました。元々1994年のわかしゃち国体開催に備えた改修が計画されていましたが、前述の試合を受けて計画が変更・前倒しされました。水の通りが悪く芝生の状態が悪化していた土壌に対し、土壌改良材を混ぜた山砂を上層部に敷き、下層部も改良するなど抜本的な改修が行われました。さらに、異なる種類の芝生を組み合わせるオーバーシード工法も導入され、年間を通して良好な状態を保てるよう改良が施されました。改良工事は段階的に実施され、まず1993年の夏季に競技フィールド中央部が、続いてシーズン終了後の1993年から1994年にかけて外周部分が改修されました。

施設概要

パロマ瑞穂ラグビー場は、公称15,000人の収容能力を持ちます。固定座席はメインスタンド、バックスタンド、両サイドスタンドに合わせて11,900席あり、ゴール裏は芝生席となっています。ナイター照明は4基設置されています。掲示板は、2014年にアストロビジョンに更新され、選手名の漢字表示や映像表示に対応するなど機能が向上しました。ピッチには天然芝が採用されています。

ラグビー練習場

当ラグビー場には補助グラウンドとして「パロマ瑞穂ラグビー練習場」があります。この練習場は2014年11月に人工芝化され、試合前の練習や地域大会、少年ラグビーなどの利用に加え、フットサルコートとしても使用可能です。

交通アクセス

名古屋市営地下鉄名城線・桜通線の瑞穂運動場西駅などが最寄り駅となります。

本スタジアムは、名古屋におけるラグビー・サッカーの歴史において重要な役割を果たしてきた施設であり、現在も様々なカテゴリーの試合会場として活用されています。

もう一度検索