品官

品官（ほんかん）について

品官とは、日本の律令制度において、四等官の体系に属さない特別な官職の総称です。中国の律令制にも「品官」という言葉がありますが、その意味合いは日本とは大きく異なります。

中国との違い

中国の「品官」は、従九品以上の官品を持つ全ての官職（日本の職事官に相当）を指します。つまり、官位を持つ官吏全般を指す言葉として使われます。一方、日本の品官は、特定の官司に所属しながらも、四等官とは異なる専門的な役割を持つ官職を指します。日本の「品官」という名称は中国に由来するものの、意味合いは大きく異なっている点に注意が必要です。

日本の品官の特徴

日本の品官は、組織上はどこかの官司に属していますが、四等官とは別に、専門性の高い職掌を持つ別局を構成しています。また、官位令によって官位相当が定められていることも特徴です。代表的な品官としては、以下のようなものが挙げられます。

中務省：侍従、内記、監物など
刑部省：判事など

日本独自の制度

中国の律令制にも別局は存在しますが、官司を統括する「長官」と通判を行う「次官」の指揮下に、別局を統括する「判官」が置かれるという三判制の原則がありました。また、検勾制による監督も受けていました。しかし、日本の四等官と品官の間には、そのような関係は存在しませんでした。この違いは、日本の律令制が省・職・司・寮それぞれに一定の独立性を持たせたこと、そして律令制以前から存在していた独立した官司（監物・判事など）を、従来の独立性を維持させたまま特定の省の管轄に加えたことに起因すると考えられています。特に、朝廷内部の事務一般を管轄した中務省には、多くの品官が集中しました。

品官制度は、日本の律令制の独自性を示す一例と言えるでしょう。



参考文献
虎尾達哉「品官」（『国史大辞典 12』吉川弘文館、1991年）ISBN 978-4-642-00512-8
大隈清陽「品官」（『日本史大事典 6』平凡社、1994年） ISBN 978-4-582-13106-2

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