品質保証

品質保証（QA）とは

品質保証（Quality Assurance, QA）は、製品やサービスが要求される品質基準を満たしていることを保証するための、計画的かつ体系的な活動全般を指します。これは、単に製品を検査して不良品を取り除くという品質管理（QC）の概念を超え、より広い視点から品質を確保するためのプロセスです。QAは、製品やサービスが顧客のニーズや期待に応え、法的要件や組織の基準を満たすことを保証するために不可欠です。

QAの適用範囲

QAは、製品やサービスのライフサイクル全体に適用されます。具体的には、以下のような活動が含まれます。

設計・開発: 製品やサービスが企画段階から品質基準を満たすように設計されるようにします。
製造: 材料の選定から製造プロセスまで、品質を維持するための管理を行います。
実装: システムやソフトウェアの実装段階で、品質を確保するためのテストや検証を行います。
サービス: 提供されるサービスが一定の品質レベルを維持できるようにします。
文書: 関連する文書が正確で、品質基準に沿って作成されていることを保証します。

ソフトウェア開発における品質保証

ソフトウェア開発におけるQAは、製造業とは異なる特性を持ちます。ソフトウェアは物理的な形を持たないため、品質を評価する際に独自の手法が用いられます。主な活動としては、以下のものがあります。

要求仕様書のレビュー: 開発するソフトウェアの仕様が明確で、関係者間で合意されていることを確認します。
ソースコード管理: ソースコードの変更履歴を管理し、品質劣化やバグ発生を抑制します。
コードレビュー: コードの品質を向上させるために、他の開発者がソースコードをチェックします。
変更管理: ソフトウェアの変更を適切に管理し、予期しない問題発生を防止します。
構成管理: ソフトウェアの構成要素を管理し、整合性を保ちます。
リリース管理: ソフトウェアのリリースプロセスを管理し、品質を確保します。
ソフトウェアテスト: バグを発見し、ソフトウェアの品質を検証します。

ソフトウェア開発のQAでは、バグ収束曲線を用いるなど、統計的な手法を用いて品質を評価することがあります。

統計的制御

多くの企業では、シックスシグマレベルの品質を目指し、統計的プロセス制御（SPC）を導入しています。これは、不具合の発生確率を100万分の4以下に抑えることを目標とするものです。SPCは、製造工程だけでなく、事務処理などの業務プロセスにも適用されます。

製造業においては、サンプルを無作為に抽出し、欠陥率を調査することでSPCが行われます。調査結果に基づいて製造工程を修正し、品質を維持します。また、調査の信頼性を保証するために、検定法の選択、サンプリング方法、分析と記録、報告などの作業がQA活動に含まれます。

ISO 17025

ISO/IEC 17025|ISO_IEC 17025は、試験所や校正機関に対する国際規格です。この規格に適合することで、試験所や校正機関は国際的な認定を受けることができます。規格には、管理に関する15の要求事項と技術的な10の要求事項が含まれており、組織のプロセス管理構造や品質目標への適合性を評価します。ソフトウェア開発では、能力成熟度モデル統合（CMMI）が品質保証の程度を示す尺度として用いられます。

企業品質

企業レベルでの品質管理は、インフラストラクチャ、コンピテンス、人的要素、企業の出力という4つの観点から捉えられます。これらの要素がバランスよく機能することで、高品質な製品やサービスが提供されます。製造業や建設業では、ISO 9000シリーズなどの国際規格で定義される品質保証とほぼ同等のものが採用されており、顧客満足度を向上させるための取り組みも重要視されています。

品質コンサルタント

新たな品質強化や方法論を導入する際には、専門知識を持つ品質コンサルタントの支援を受けることが有効です。コンサルタントは、シックスシグマ、MSA、FMEA、APQPといった専門的な知識や経験に基づいて、組織の品質改善をサポートします。